「母親」である事の難しさ(と己の無能さについて)
2017年9月11日(月)晴れ。
この日、仕事中に妻から電話がかかって来ました。
何となく予想はしていたのですが・・・出てみると、やはり、と言うか・・・電話口の向こうで、妻も娘も大泣きしています。
今日は妻が幼稚園のPTA活動に行く日だったのですが、最近、PTAに行くと、妻は非常に不安定になります。
これについては、妻の育った環境の影響は無視出来ないでしょうね。
妻と父親との関係が悪かった事は、以前の記事「入園式」でも触れた通りです。
加えて、実は母親との関係においても
「自分は母親から充分に愛情を注いで貰えなかった」
という風に感じているようで、妻としては、非常に寂しい思いをしたようです。
通常、そういう問題は、当事者である娘(妻)と母親が時間をかけて向き合わなければ、根本的には解決されません。
が、上記の記事でも書いている通り、妻のお母さんは既に亡くなられています。
妻としては、勿論
「娘には、自分みたいな思いをして欲しくない」
と思っているのですが
「愛情を注がれた経験の無い自分が、ちゃんと娘に愛情を注ぐ事が出来るだろうか?」
という不安を常に抱えているのだと言います。
また、妻は、僕の性格やら、僕が時折話す両親とのエピソードを通じ、僕の両親の子育ての仕方を参考にしたいようで、よく
「ととのお母さんに色々な話を聞きたかったな」
と言っています。
が、あいにく、僕の両親は既に他界しており、それも叶いません。
少し話は飛びますが、娘は幼児教室に通っていて、かなり年配の女性の先生に成長を見てもらっています。
その教室は、いわゆる「お受験対策」などは全く行わなず、とにかく「子供をのびのびと育てる」事を信条とした教室です。
その教室へ通い始めた理由の半分は、妻が子育てに関し、その先生に色々と相談を出来る事でした。
が、詳しくは述べませんが、ある日(の先生の発言)を境に、その先生への相談も控えるようになっています。
また、子供のいる友人も居なくはないのですが、ほとんどの友人の家庭は、あまり褒められた状態だとは言えません。
唯一、一人だけ、まともに相談出来そうな友人が居るのですが、その友人は非常に多忙な事もあって、妻は相談の電話を掛けるのを遠慮しているようです。
つまり、妻にとっては、子育てに関し、信頼出来る女性の相談相手が居ないのです。
そういう状況の中、PTAに行くと、子供を休園させている事もあり、色々と(本人の受け止め方としては)否定的な扱いを受けるようで、そうなると、一気に不安が爆発してしまうようです。
妻は、そういう心理状態に陥ると
・激しく落ち込む
・最近少し反抗的になって来た娘と本気でケンカしてしまう
・激しく叱ったりしてしまう(でも決して手は上げないようにしている)
という何れかの行動を取ってしまう事が多いようで、結果的に、激しく落ち込んでしまう事に。
心療内科のような所に行ってみようかとも真剣に考えたらしいのですが、その手の所を妻は(私もですが)全く信用しておらず、止めたとの事。
自治体等でも子育ての悩みに関する相談は受け付けているのですが、いつ電話しても繋がらないそうで、現在のところ、基本的に手詰まりの状態です。
こういう問題に対し、心理学的な(通り一遍の)解答が無い訳ではありませんが、妻が必要としているのは、そういう事ではないのです。
勿論、僕としても何とかしたいのはやまやまなんですが、僕に出来る事と言えば、とにかく妻の話を聞いて、なだめる事くらいしかありません。
尚、この日は、妻の中でも過去最大級に危険な状態だと感じたらしく、僕との電話を終えた後、前述した「唯一相談出来そうな友人」に電話をかけてみたのだそうです。
その結果、妻は非常に救われたらしく、且つ
「遠慮なんてしないで、ガンガン電話して来て」
との有難い言葉を頂いたのだとか。
「持つべきものは友」だとは言いますが、これには僕としても、本当に感謝しかありません。
「いや、そんなの、悩みの内に入んないよ。子育てしてたら当たり前の事でしょ」
言い方は色々あると思いますが、そういう内容の事を言われるのは分かってます。
僕自身(そして勿論、妻)も、頭では分かっているつもりだったんですが、いざ我が家(妻自身)の話となると、何と言うか、やはり「重さが違う」んですよね・・・。
改めて「知識とは、それだけでは何の役にも立たない」のだと思いました。
ブログのタイトルにもある通り「無知」である僕は、知識を活かす事の出来ないポンコツなのだと思い知らされます。
本当に情けないですね・・・。
抗がん剤治療その⑥ AVD療法1クール目後半
2017年9月8日(金)晴れ。
今日はAVD療法2回目です。
いつも通り、総合受付を済ませた後、オンコロジーセンターに向かいます。
前回の治療時、オンコロジーセンターの先生から、僕が見つけた
「ABVD療法でダカルバジンの投与方法を変更した事によって血管痛を軽減した」
とされる論文を読んでみたいと言われていたので、持って来ました。
まずはラインを取りますが、今回は右腕にチェンジします。
また、左腕同様、焼けた血管を避け、その上流(肘関節付近)の血管からルートを取ってもらいました。
尚、今回も採血に加え、採尿がありますね。
何故なんでしょうか?
恐らく、現在、僕は好中球の数値がかなり低いので、感染症の有無を確認しているのではないかと思いますが、理由は聞き忘れてしまいました。
今日は身長と体重、血圧をオンコロジーセンターで測定するように言われます。
これは初めての指示ですね。
いつもは内科の「処置室」と呼ばれるゾーンで測定を行なうんですが、何故、今日はここで測定するのか、理由が良く分かりません。
ルールが変わったんでしょうか?
採血と採尿を済ませた後、しばらく待って、処置室で看護師さんとの問診。
最近の健康状態等を聞かれ、酸素濃度のみを測定し、そのまま処置室で待ちます。
しばらくすると、再び看護師さんがやって来ました。
「すみません。今日は、まだ時間がかかりそうなので、先に胸部X線写真を撮影して来て頂いても宜しいですか?」
と言われ、放射線科へ。
撮影も無事終了し、再度、血液内科の待合で待ちます。
しばらく待って、ようやく診察室へ。
この段階で、既に来院から3時間近く経過しています・・・今日は本当に時間がかかりますね。
診察室には、主担当医ではなく、代理の(恐らく先輩の) 医師がいます。
話によると、主担当医は何やら立て込んでるらしく、この医師が代理で診察するのだそうです。
医師は、PCのモニターに、先ほど撮影した胸部X線写真と、前回の抗がん剤治療後(8月25日)に撮影した物を並べて表示します。
肺の影は確実に薄くなっており、やはりブレオマイシンが原因の炎症で間違いなさそうだとの事でした。
また、今日の血液検査の結果、これまでの治療経過の中では最も好中球のレベルが低下しているらしく、抗生剤(レボフロキサシン)を処方されました。
一通りの話が終わった後、医師に一点、質問します。
「これまで抗がん剤治療中は口腔外科を並行して受診してたんですが、ABVD療法の終了に伴って、口腔外科の診療も終了になりました。AVD療法を開始した現在、再開しなくて大丈夫でしょうか?」
これに対しては
「抗がん剤治療中に、主担当医をオンコロジーセンターまで行かせますので、そこで相談して決めて下さい」
と言われます。
診察室を出て、再びオンコロジーセンターへ。
いつも通りの手順で薬剤の滴下が進みます。
今日の医師や看護師さん達は、これまでのどの担当者とも違う方々なんですが、僕が血管痛に悩まされている事や、論文を持ち込んでまでS病院の標準レシピを変えているという情報は、良い意味でも悪い意味でも引き継がれているようです。
で、オンコロジーセンターの先生には、持って来た論文を呼んでもらった上で、以前の記事にも書いたように「ダカルバジンの溶解剤の容量を減らしてみて欲しい」と言ってみました。
・・・・・・・・・・・ここから先の顛末は、色々考えて、公開しません。
結論としては、主担当医の指示により、溶解剤は前回と同様、5%ブドウ糖溶液500mlになりました。
うーん、やはり、基本的に僕は、自分の主担当医の事は好きになれませんね。
前回の記事で、患者と医師の関係の重要性について書いておきながら、説得力に欠ける話だとは思います。
僕の場合、病気そのものの事に加え、そこに不安や疑念があった事もあり、セカンドオピニオンを求めた訳です。
そして、その結論として
・主担当医と言うよりS病院の血液内科の治療方針に妥当性があると考えて良い事
・主担当医以外の医師や看護師さん達は(一人の例外を除いて)基本的に信頼がおけそうである事
を確認出来ましたので、地理的な要因も含め、S病院での治療継続を選択しました。
そういう訳ですので、まぁ、今回の事も目をつぶる事にします。
ただ、願わくば、主担当医にはダカルバジンを最低2回、同じ血管から注入してみて欲しいですね。
それからでないと、この医師と、これ以上、この話をするのは無駄だと思います。
コーラを飲んだ事の無い人間に、コーラの味を理解させる事は出来ませんからね。
尚、口腔外科の診療再開について、主担当医に聞いてみたところ
「特に必要ありません」との事。
これについても、後日、一悶着あるんですが・・・。
「ごま鯖」が食べたい(そして今度は胃がん・・・)
2017年9月7日(木)曇り。
昨日から天気が悪くて、少し肌寒いです。
この日の仕事中、妻から
「いつものお魚屋さんに行くけど、希望ある?」とメールが来たので
「良いサンマがあれば食べたい」とリクエストしました。
僕はサンマの塩焼きが大の好物で、生のサンマが出回るようになると、毎日でも食べたいくらいです。
が、ここ数年、サンマの状態は、あまり良くありません。
今年は特に良くないようで、まだ水揚げが本格化していないとは言え、その魚屋さんでも積極的には仕入れを行なっていないとの事。
その代わりと言ってはなんですが、この時期になってもイワシの状態は非常に良く、今年は沢山イワシを食べています。
て事で、今日の夕食は、丸々と太ったイワシの塩焼きになりました。
うん、本当に美味しいです。
しかし、最近では、イワシも贅沢品になりつつありますね。
僕が子供の頃は、イワシってのは大衆魚の代表のような魚で、一匹20〜30円程度だったような気がします。
もちろん、今日食べたような立派なイワシじゃありませんけどね。
それにしても、早く抗がん剤治療を終えて、刺身や「ごま鯖もどき」が食べたいですねぇ・・・。
僕は福岡出身という事もあり、大好きな料理の中の一つに「ごま鯖」があります。
「ごま鯖」は、最近では東京でも知られて来たと思いますが、僕が上京して来た当時は誰もその存在を知らず「鯖を生で食べる」という行為に対して狂人扱いされた記憶があります。
当時はサンマも同様で、東北や北海道に行かないと刺身で食べる事はなかなか出来ませんでした。
最近は物流が発達した事もあり、サンマの刺身は東京でも普通に食べられるようになりましたが、サバは未だに美味しい刺身を手に入れるのは難しいですね・・・。
(※売ってない事はないんですが、全く美味しくないです)
さて、そんな事情で「ごま鯖」は作れませんが、代用の料理は作れますので、今回は、そのレシピを紹介します。
【タレの作り方】
1:みりん大さじ2と酒大さじ2を小鍋に入れ、半分の量になるまで煮切ります。
2:1に、醤油(出来れば昆布醤油)大さじ2を加えます。
3:2に、すりゴマを好きなだけ加えれば、漬けダレの完成です。
超簡単ですね。
これに、本当ならサバの刺身を浸け、冷蔵庫で30分ほど寝かせてから食べます。
小口切りにした青ネギ(万能ねぎ、あさつき等)や、おろし生姜をお好みで加えて下さい。
サバの刺身が手に入らない場合、個人的には鮮度の良いアジで作るのが一番美味しいと思いますが、カンパチ、ハマチあたりで作っても美味しいです。
(※尚、上記のタレの分量は、中くらいの大きさのアジ3尾で作る場合の目安です)
アジの場合、出来れば魚屋さんで鮮度の良い「丸」の物を皮付きで三枚におろしてもらい、タレに漬ける直前に皮を剥いでから、厚めの刺身にして作ると非常に美味しいですよ。
(※勿論、ご自分で魚を捌ける方は、ご自宅で捌いて下さい)
お酒もご飯もすすみますし、お茶漬けにしても美味しい。
簡単に作れますし、おすすめです。
話は変わりますが、このお魚屋さんは、いつも非常に良くしてくれて、本当に感謝しています。
で、この日、妻が店に行った際、相談をされたのだと。
実は、このお魚屋さんの調理担当の方が、胃がんである事が判明したらしいのです。
病期は1-bで、スキルス性では無いとの事。
このお店の人達には、僕が悪性リンパ腫である事を明かしている(突然、刺身を買わなくなった事を不審がられて、妻が白状したらしい)ので、妻が相談を受けたようです。
胃がんになった調理担当の方は、比較的、高齢な事もあって、ネットなどから情報を得る事が不得意らしく、どうすれば良いのか分からないのだと。
加えて、今、行っている病院の担当医と、そりが合わないらしいです。
これが一番の問題で、医者との信頼関係が築けないと、納得して治療に専念出来なくなるんですよね・・・。
どこまでお役に立てるか分かりませんが、僕なりのアドバイスをメモとして妻にまとめてもらい、その方に渡してもらう事にします。
また、現在の担当医との相性が悪いのであれば、転院も視野に入れた方が良いと思いますので、胃がんの症例で高い実績のある病院の中から、セカンドオピニオンを求める先や転院先候補の病院リストを作成して渡す事にしました。
その方が、今後どういう選択をされるのかは分かりません。
僕のアドバイスが絶対に正しいと主張するつもりもありません。
ただ、ご自身が納得されない形で治療に臨まれる事だけは無いように願うばかりです。
車と煮豚と煮卵と
2017年9月2日(土)晴れ。
爽やかな陽気で、過ごしやすいです。
この週末は、山梨県へぶどう狩りに行く計画を立てていたんですが、ちょっと色々と事情があって、中止になってしまいました。
娘がとても楽しみにしていたので、本当に残念です。
「じゃあ、代わりに、お車さんを見に行く?」
と娘に聞いてみると「行く!」という事なので、娘の大好きなディーラーのショールームへ。
実は2日前、趣味車のディーラーの担当者Kさんから、この土日に日本に3台しか入らない限定車を展示すると聞いていたので、見に行く事にしました。
ショールームに着くと、いつもは何台か車が展示してあるんですが、今日は、その限定車1台だけ。
娘は、初めて見る車体に2〜3分だけ興味を示しましたが、他に車が無いのが退屈だったらしく、ジュースを飲んだ後、妻と共にディーラーの駐車場へ行ってしまいました。
(駐車場には、いつも10数台の車が置いてあります)
限定車の実物は、写真よりも存在感があって凄いですね。
ただ「欲しいかと?」と言われると・・・うーん、オーナーの方には申し訳ないんですが、僕は、あんまり欲しくないかな・・・。
帰り際、Kさんから、来月開催されるメーカー主催のイベントについて案内を受け、参加の要請をされました。
「喜んで参加させて頂きます」と答え、ディーラーを後にします。
帰り道、何日か前に妻から「久し振りに煮豚と煮卵作ってよ」とリクエストされていた事を思い出し、スーパーで材料を買ってから帰る事にします。
帰宅後、早速、調理開始。
最初は、先日買った圧力鍋を使うつもりだったんですが、急に気が変わり、普通の鍋で作る事にします。
【材料】
・豚肩ロース塊肉:750g
・玉ねぎ:1個(薄切り)
・生姜:一かけ(千切り)
・昆布:10cm角位の物1枚
・卵:6個
・酒:400ml
・醤油:300ml
・砂糖:大さじ6
・みりん:100ml
【作り方】
1:豚肉は全体にフォークで穴を開け、たこ糸で縛るか、ネット(精肉売り場で大体無料で配っているやつ)に入れます。
※たこ糸もネットも無ければ、何もしなくてもOKです。
2:フライパンで全体に焼き色が付くまで強目の中火で豚肉を焼きます。
※しっかりと焼き色を付けた方が美味しいです。
3:鍋に水2リットルと酒400mlで煮汁を作り、2の豚肉、薄切りにした玉ねぎ、千切りにした生姜、昆布を入れて火にかけます。
4:アクを取りながら弱目の中火で30分ほど煮ます。
※ぐらぐら沸騰しない程度の火加減です。
5:3の鍋に醤油300ml、みりん100ml、砂糖大さじ6を加え、弱火で2時間ほど煮ます。
6:5の間に、ゆで卵を好みの茹で加減で作ります。
※僕の場合、大き目の鍋にお湯を沸かし、6分間、かき混ぜながら茹でます(冷蔵庫から出したばかりの冷たい卵の場合)。
これで、半熟卵が出来上がります。
茹で終わったら、すぐに冷水にさらし、熱が取れたら水の中で殻を剥きます。
これを、熱の取れた5の鍋に入れ、冷蔵庫で半日~1日寝かせば完成です。
※冷蔵庫から出す時、煮汁の表面に脂が白く固まっていると思いますので、これを取り除いてから、温めて食べた方が美味しいと思います。
夕食は、この煮汁を利用して、薄切りの牛肉とゴボウのささがきを煮た物を具にしたうどんを作りました。
このうどんは、思い付きで初めて作ってみたのですが、割と美味しく出来ましたね。
妻も娘も非常に気に入ってくれて、良かったです。
翌日、晩御飯に煮豚と煮卵を食べたんですが、妻と娘の食べっぷりが見事で、あっという間に煮豚が無くなってしまいました。
娘「とと、おかわりある?」・・・www
いや、これだけ食べてくれると嬉しいですね。
次回は、もっと沢山、作りましょうか。
しかし、これまで何回か料理のレシピを記事にしましたが、こういうのって、写真とか付けた方が良いんでしょうかね・・・。
このブログを書くにあたっては、何となく「なるべく素っ気なく書きたい」と思っていましたので、基本的に写真もイラストも使わない方針ですし、見出しや装飾も使っていません。
それに、料理ブログって訳でもありませんし「別に良いかな」とも思いますが・・・さすがに、ちょっと分かりにくいかも知れませんね・・・。
セカンドオピニオン(国立がん研究センター中央病院の場合)
2017年8月30日(水)曇り。
この日は、セカンドオピニオンを求めて、国立がん研究センター中央病院へ。
ここは「がん研究会有明病院」と並ぶ「がん治療の聖地」とも言える病院ですが、いや、すごい患者の数ですね・・・。
まぁ、恐らく、全国から患者さんが集まって来ているんでしょうから、当然と言えば当然なのかも知れません。
セカンドオピニオンの人もかなり多い様子で、専用の窓口がありますね。
受付で諸々の手続きを済ませた後、S病院で貰った、診断画像が入ったディスクを持って4階の窓口へ。
診察前に、ここで予め画像を取り込んでおくのだそうです。
以前の記事「確定診断までの経緯その⑪」でも書きましたが、病院の診断画像は専用のビューワーでないと開けない形式になっています。
S病院で貰ったディスクも確認してみましたが、やはりJ病院のディスクと同様に、画像を展開するには専用のビューワーが必要でした。
なので、恐らく、ここであらゆる形式のファイルを取り込んで、この病院で閲覧しやすい形に変換するのだと思います。
その後は、指定された場所で待ちます。
しばらくすると名前を呼ばれ、診察室へ。
担当の医師からは、まず
・咳はあるか?
・息苦しさはあるか?
・熱はあるか?
・喫煙歴はあるか?
を聞かれましたので
・咳や息苦しさ、また熱も無い事
・約30年間、1日20本程度の喫煙歴があったが、治療開始と同時に禁煙した事
を伝えます。
医師は「なるほど」と言った後、PCのモニターにPET-CTの画像を表示します。
そして「今のお話を伺った上で」と続け、以下の内容を話してくれました。
・僕の病状から考えて、S病院が当初の治療方針として「ABVD療法2コース+放射線治療20Gy」という選択をしたのは妥当だと思われる事
・左頚部リンパ節の腫脹に対してABVD療法は明確に奏功していると思われる事
・気管支鏡生検の結果等から考えて、PET-CTの画像に見られる肺の集積はホジキンリンパ腫の浸潤とは考えられず、ブレオマイシンによる薬害性の器質化(炎症)が最も疑われる事
・これらを総合すると、PET-CTの画像に見られる右頚部及び縦隔への集積は、肺の炎症に対する反応であると考えるのが妥当だと思われる事
・僕の病状の場合、本来は「ABVD療法4コース+放射線治療30Gy」というのが標準治療であり、今回、放射線治療に踏み切らず、ブレオマイシンを除いた化学療法(AVD療法)が2コース追加された事については、色々な意味で妥当な判断だと思われる事
結論としては
「このまま、S病院で治療を継続されて良いと思います」
と。
ただし
「肺の状態に関しては入念なフォローが必要だと思われますので、その旨を書いて、S病院に手紙を出しておきます」
との事です。
最後に「他に質問はありますか?」と聞かれたので
「仮にAVD療法の結果が思わしくなかった場合、救援療法になると思うんですが、先生であれば、どの方法を採用されますか?」
と聞いてみました。
これについては
「その時の状況にもよりますので、現段階では何とも言えません。確かに幾つかの選択肢が考えられますので、もし、そういう状況になり、S病院の判断に疑問や不安があるようでしたら、再び、こちらにいらして頂いても良いかも知れません」
との事でした。
また
「最初に喫煙歴を聞かれましたが、喫煙歴とブレオマイシンによる炎症には、やはり関連性があるんですか?」
と聞いてみると
「あると思います。患者さん個々の状態にもよりますが、一般的には、喫煙歴の無い方の方がブレオマイシンによる肺の炎症は起きにくいとされています」
と。更に
「なるほど。ところで、今、禁煙している訳ですが、今更、焼け石に水でしょうか?」
と聞いてみましたが
「いえ。ブレオマイシンの影響は長期間に亘りますので、出来れば禁煙は続けて下さい。個人的には、治療開始時から禁煙をされている事で、肺の炎症の重篤化が避けられていると思います」
との事ででした。
まぁ、禁煙も無駄じゃなかったという事ですね。
礼を言って、診察室を出ます。
話は非常に良く分かりましたし、納得も出来ました。
セカンドオピニオンを聞いてみて、良かったと思います。
ただ、43,200円という料金は、決して安くはないですね・・・。
保険適用になれば、もっと気軽にセカンドオピニオンを求められるようになり、患者が納得して医療を受けやすくなるんじゃないかなとは思います。
が、医療費の高騰が叫ばれている昨今、そこに予算を割くのは、なかなか難しいのかも知れませんね。
病院を出て、空を見上げると、来た時と変わらずの曇天です。
ただ、来た時とは違い、気分は晴れ晴れとしていました。
気管支鏡生検の最終結果
2017年8月28日(月)晴れ。
少し気温が低く、過ごしやすいですね。
今日は、気管支鏡生検の正式な結果を聞きに、S病院の呼吸器内科へ向かいます。
受付表を見ると、今日は特に検査等も無いようですね。
呼吸器内科の受付を済ませ、しばらく待った後、名前を呼ばれて診察室へ。
呼吸器内科の担当医は、いつも非常に疲れているように見えるのですが、今日は何だか顔色が良いですね。
さて、担当医によれば、まず、生検の結果としては
・悪性の細胞は発見されなかった
・全ての検査数値を見ても悪性腫瘍等を疑う要素は無い
との事です。
担当医は次に、2枚の胸部X線写真をPCのモニターに表示します。
一つは、生検直後(8月18日)に撮影した物、もう一つは、AVD療法1回目の終了後(8月25日)に撮影した物です。
この2枚の写真を見比べながら、肺の状態を解説してくれました。
前回の診察時にも感じましたが、この医師の説明は、とても丁寧で分かりやすいです。
2枚の写真を比較すると、1週間で影が薄くなっているの事が確認出来ます。
つまり、この影は炎症である可能性が高いという事ですね。
これらの事から、最終的な所見としては、やはり
「ブレオマイシンによる薬剤性器質化肺炎」
とするのが妥当だろうという事です。
尚「薬剤性器質化肺炎」と言うのは「ホジキンリンパ腫の肺への浸潤」よりは「マシ」な結果ではありますが、決して喜ばしい物ではありません。
これは立派な病変であり、下手をすると、がん化する可能性もあります。
したがって、今後しばらくの間、定期的に胸部X線写真を撮影し、継続的に肺の状態をフォローして行く必要があるという事でした。
その後、担当医から「今後の治療については、どうされるんですか?」と聞かれたので
・基本的にはAVD療法を2クール追加し、その後のPET-CTの結果を見て、今後の治療方法を判断する予定である事
・これと平行して、国立がん研究センター中央病院にてセカンドオピニオンを求め、このままS病院で治療を続けるか、転院するかを決めるつもりである事
を伝えました。
呼吸器内科の医師としても「非常に妥当な判断だと思う」との事です。
診察の最後に、先日、主担当医から貰ったセカンドオピニオン用の資料に不足が無いかを確認してもらい、最新の検査結果の資料を若干追加して頂きました。
礼を言って診察室を出て、会社へ向かいます。
8月14日以降、何だか色々とバタバタしていましたが、兎にも角にも、肺に悪性の物が出てなくて良かったです。
オフィスに着く直前、何かを忘れたような気がして、よくよく記憶を辿ってみると、病院で会計を済ませていなかった事に気が付きました。
慌てて病院に戻り、お会計を済ませます。
別に、がんが寛解した訳でも無いのに、浮かれてるんですかね?
僕自身としては、仮にこの先、がんが寛解したとしても、浮かれるつもりなど全くありません。
それは、ここでは詳しくは述べませんが「がん」という病気について、それなりに勉強して来た僕の結論です。
・・・が、肺の影がホジキンリンパ腫の浸潤では無い(可能性が極めて高い)というだけで、お会計を忘れて病院を出て行っちゃう訳ですから、何も言い訳出来ませんね。
落ち着け、俺。
ところで、話は変わりますが、この日の夜中、強烈な腹痛に見舞われました。
以前の記事「便秘とか血管痛とか」の時と同じ感じです。
脂汗が滲むほどの痛みで、なかなか辛いですね・・・。
ものすごく時間をかけ、何とか少しずつ便を出して行くと、次第に痛みが和らいで来ました。
今回の事から考えると、以前、お腹が痛くなったのは、マグミットが身体に合わなかった訳では無いのかも知れません。
ただ、特に何日も便秘だった訳では無いんですが・・・腹痛の原因が良く分からず、色々な意味でスッキリしませんね。
抗がん剤治療その⑤ AVD療法1クール目前半
2017年8月25日(金)晴れ。
ここ数日、暑い日が続いています。
予定では、今日から化学療法再開です。
前回の記事で触れた通り、ホジキンリンパ腫の化学療法として標準的な「ABVD療法」から「B(ブレオマイシン)」を除いた「ABV療法」という、変則的な化学療法となります。
受付表を見ると、今日は血液検査はありません。
2日前に血液検査を行なっている為ですかね。
採血が無いので、そのまま血液内科へ向かいます。
最初に看護師さんとの問診があり、体重、体温、血圧、酸素濃度等を測定。
その後、しばらく待った後に診察室へ。
まず、気管支鏡生検の退院時に撮影した胸部X線写真を見ながら、肺の炎症の場所を確認します。
主担当医によれば、今後、これをベースとして、肺の状態を追跡するとの事です。
また、先日の血液検査の結果を聞きます。
好中球のレベルは、抗がん剤投与終了後、約1ヶ月で正常値に戻っていました。
その他の数値も基本的に正常の範囲内との事で、今日からの化学療法再開に問題は無いとの判断です。
尚、以前発見していてた
「ABVD療法でダカルバジンの投与方法を変更した事によって血管痛を軽減した」
とされる論文を見せ、意見を聞いてみました。
主担当医は
「効果のほどは分かりませんが、とりあえず、どちらの方法でも出来るように指示しておきましょう」
との事。
その後、セカンドオピニオン用の資料一式と紹介状を受け取り、診察室を出ます。
次はオンコロジーセンターへ。
オンコロジーセンターでは、血管痛対策について、かなり入念に相談されます。
まず、ルートを取る場所に関しては、少なくとも
「血管が変色するほど焼けてしまった部分にはダカルバジンを通過させない」
という事になり、より上流側から滴下する事になりました。
腕としては、左腕を選択。
溶解液は、これまでの生理食塩液から5%ブドウ糖液に変更です。
ただ、液量は従来の250mlから500mlに増えてしまっていますね。
これは何故なんでしょうか。
僕が調べた論文では、溶解液は500mlから100mlに減量されています。
論文では、溶解液を減量する事でダカルバジンの光分解暴露量を抑えたと考察されている為、溶解液を増やすというのは不可解です。
まぁ、100mlにしろとは言いませんが、少なくとも、従来と同じ液量にして欲しいんですが・・・。
オンコロジーセンターの先生にも、一応、その旨を伝えてみます。
が、今回は、既に調合の準備に入っているので、変更は難しいとの事。
残念ですが、仕方ありません。
オンコロジーセンターの先生によれば、論文を持ち込んで来る患者は見た事が無いらしく「もしかして医療関係者なんですか?」と聞かれます。
「医療関係者では無いんですが、医療機器メーカーや製薬会社と仕事をしているので、日頃から色々と勉強をしているんです」
と伝えつつ、具体的な仕事の実例等を紹介すると、非常に納得して頂き、話も真剣に聞いてもらえました。
尚、今回のダカルバジンの滴下に関しては、液量が従来の倍に増えている為、滴下速度を倍にして、時間を従来と同じにするという方法となりました。
で、結果なんですが、滴下中に多少の違和感は感じたものの、明確な血管痛は出ませんでしたね。
ただ、これは滴下方法の変更が奏功したのか、ラインを取った位置を変えた事が奏功したのかは分かりません。
これまで血管痛が出たのは、全て、同じ血管の場所で2回目に滴下した場合だった事を考えると、位置の変更という要素が大きい気がします。
つまり、2クール目の前半で、はっきりとした結果が分かるという事ですね。
抗がん剤治療終了後、胸部X線撮影を行ない、本日の予定は全て終了です。
さて、血液検査の値、特に好中球の値が正常値だった事を聞いたので「これはチャンス」と思い、夕食は近所のお寿司屋さんへ行く事にしました。
6月中旬から、基本的に生ものは自重していて、お寿司は多分、4ヶ月ぶり位ですかね。
久しぶりに食べるお寿司は、しみじみ美味しいです。
また、板前さんが、娘に「超ミニチュア寿司」を握ってくれたりして、とても楽しい食事でした。
これでまた、しばらく刺身はおあずけですね。
と、ここまでは良かったんですが、お店を出る頃になって、身体に異変が。
何故か急激に体調が悪くなります。
あまりお酒を飲んだ訳でもないのに、とにかく体が強烈にダルいです。
家までは、歩いて10分ほどの距離なんですが、正直「これ、歩いて帰れるのか?」と疑うレベル。
妻がタクシーを拾おうとしますが、さすがにそれは止めてもらい、何とか歩いて帰り着きました。
帰宅後、すぐに就寝しますが、3時間後に目が覚めます。
体のダルさは消えていますね・・・体温や脈拍も正常ですし、どうやら体調は戻ったようですね。
一体、何が原因だったのか分かりませんが、本当に焦りました。
やはり、抗がん剤の影響なんでしょうか。
とりあえず、これまで通り、生ものは止めておきましょう。