無知の知菴 〜悪性リンパ腫罹患者の日常〜

結節硬化型古典的ホジキンリンパ腫と診断され、経験した事、学んだ事、思う事。

確定診断までの経緯その③ J病院へ

なぜ形成外科なのか?

 

基本的な疑問は消えませんでしたが、とにかくJ病院に向かいました。

 

まずは総合受付に行くと、窓口の方から形成外科の場所を案内されます。

形成外科へ行き、受付で渡された問診票などに記入をしつつ20分ほど待っていると名前を呼ばれました。

 

診察室に入り、担当の医師に先ほどのクリニックで行なったのと同様の説明をした後、触診となります。

 

「うーん、結構腫れてますね。柔らかいな・・・ちょっと他の部分も触らせてもらって良いですか?」

 

医師は、首の反対側、脇の下、鼠蹊部を触診して行きます。

 

「うーん、他のリンパ節は腫れていないようですね・・・何だろうな・・・」

 

色々と考えを巡らせている様子の医師に対して、僕は「可能性としては何が考えられますか?」と聞いてみました。

 

「うーん、まぁ、色々と考えられるんですが・・・ただ、正直な所、ちょっと現状では何を検査するべきかも判断がつきませんので、少し様子を見る事にしましょう。3週間後にまた来て下さい」

 

3週間?そんなに様子を見るんですか?」

 

意外な対応に驚いている僕に対して、医師は「そのくらい時間を空けて良いと思いますよ。もしその間に熱が出たり腫れが大きくなったりするようでしたら、すぐに連絡をして下さい」と言います。

 

その後、医師は「現状を記録しておきたいので」と言ってコンパクトカメラで首の写真を何枚か撮影し、その日の診察は終了となりました。

 

問診と触診だけで何の検査もしない事には少し驚きましたが、 その時は「緊急性は高くないと判断されたという事だろう」と考える事にしました。

もう少し言えば「悪性リンパ腫だったりするんじゃないのか?」と考えていた部分があった為、血液検査等が行われなかった事に対して内心では少しほっとしていたのかも知れません。

 

冒頭の「なぜ形成外科なのか?」という疑問は、別の言い方をすれば「血液内科に行くべきじゃないのか?」と考えていたとも言えますね。

 

診察を終えると妻に電話をし、クリニックからJ病院への一連の流れや医師とのやりとりについて簡単に報告をしつつ、職場へと戻ります。

 

その日の帰宅後、妻と改めて話をしました。

 

実は、妻には結節硬化型古典的ホジキンリンパ腫(つまり結果的には僕と全く同じ病気)に罹患し、寛解5年以上経過している友人がいます。

40歳で発病し、現在(20177月時点で)47歳の男性(M氏)です。

 

妻はM氏の発病当時の様子と比較して、僕の症状が「もしかしたら同じ病気かも知れない」と思い、日中にM氏に電話を掛けて色々と聞いたのだそうです。

ちなみにM氏はJ病院で全ての治療を行ないました。

 

M氏は妻の話を聞くと「あー、それ俺の時と同じやわ。すぐ血液検査した方がええで」と言ったそうです。

 

そういう話を聞くと「やっぱり別の病院に行って血液検査とかしてもらった方が良いよなぁ」という考えと「急性期病院で診てもらった上で検査されなかったんだから、きっと大丈夫なんだろう」という考えが拮抗します。

 

妻とも色々と話をした上で、その日の結論としては「とりあえず様子を見よう」と言う事に落ち着きました。

M氏が「俺の時と同じ」状態と言ったにもかかわらず、同じJ病院で精密検査等を実施されなかったのには「それなりの理由があるのだろう」という話になった為です。

 

それにしても、なぜJ病院では血液検査等が行われなかったのでしょうか?

今から考えれば、その当時、クリニックやJ病院としては脂肪腫の可能性を最も疑っていたんじゃないかと思います。

そう考えると、色々と辻褄が合いますからね。

 

とは言え、結果としてクリニックの医師も、一般的には信頼性が高いと思われている急性期病院であるJ病院の医師も判断を誤った訳です。

 

まぁ医師も人間ですし、誤診など日常茶飯事な訳ですから当たり前と言えば当たり前ではあるんですが、この日の出来事は「医師の言う事を決して鵜呑みにしてはいけない」と言う事を示す良い事例だと思いますね。