無知の知菴 〜悪性リンパ腫罹患者の日常〜

結節硬化型古典的ホジキンリンパ腫と診断され、経験した事、学んだ事、思う事。

確定診断を受けて

確定診断が出た日、帰宅してから週末にかけて、妻と色々と話をしました。

 

がんになってしまった事自体は、どうしようもありません。

まずは現実と向き合い、治療するのみです。

 

実は、僕は以前から妻に「確実に、がんになると思うよ」と話していました。

妻も、その事自体は頭では理解していたのですが、いざ現実の事となると、やはり動揺してしまったようです。

 

僕は改めて

 

「がんになるのは20年以上前から予測していた事なので、全く動揺していない」事

「今回の事について、決して楽観はしていないが、悲観もしていない」事

「治療方法としては、まずは標準治療を選択する」事

「標準治療が奏功しなかった場合、セカンドオピニオンを求めるつもりである」事

「いわゆる“民間療法”は、いかなるケースにおいても導入するつもりは無い」事

 

等について話し、妻も、それについて納得してくれました。

 

それら、一連の話の後、妻は、以前の記事「確定診断までの経緯その③」に登場したM氏や、医師の友人に電話を掛け、色々と話を聞いてくれた事を話してくれました。

 

bonyoh.hatenablog.com

 

また、それ以外にも自分で色々と調べ、今後の生活全般に亘る注意点等を炙り出してくれていました。

特に、日和見感染の防止策については徹底していて驚きました。

 

抗がん剤治療を行なうと、副作用として「骨髄抑制」という現象が発生します。

これは抗がん剤の影響によって骨髄能力が低下し、白血球が減少するという現象です。

 

白血球(中でも「好中球」)が減少している状態では、身体の免疫力が低下しており、この状態の時に病原菌に感染すると、場合によっては重い感染症や合併症を引き起こします。

 

そして、抗がん剤の副作用による死亡報告の中で最も多いのが、この感染によるものだそうです。

 

吐き気や脱毛どころの話ではありません。

死に至る副作用です。

 

また、死に至らないまでも、免疫力が低下している時に何らかの病原菌に感染し、熱を出したりすると、抗がん剤治療の予定が延期になってしまう可能性があります。

その場合、抗がん剤治療の効果を計算通りに発揮出来ない事になってしまうのです。

 

抗がん剤治療というのは、使用する抗がん剤の種類や量はもちろんの事、投与間隔や投与回数もきちんと決められています。

これらは、対象となるがん細胞の増殖速度等を考慮した上で設定されています。

 

したがって、抗がん剤投与間隔が伸びたりすると、その分だけ、がん細胞に再増殖の猶予を与える事になってしまい、せっかくの抗がん剤治療の効果が薄くなってしまう可能性がある訳です。

 

抗がん剤の副作用については、別の機会に詳しく書きたいと思いますが、あまりこういった観点から論じられている事は少ないように感じます。

が、言うまでもなく、抗がん剤の投与は「治療」な訳ですから、その治療効果を最大化する為にも、感染対策は非常に重要なのです。

 

こういう意味からも、妻が感染対策について具体的な方策を立ててくれた事は、とても有り難かったです。

 

「手洗い、うがいの方法及びスケジュール」という基本的な事に始まりますが

「手指衛生剤や各種除菌剤の選定」

「重点清掃箇所と清掃スケジュール策定」

「寝具の洗濯及び交換スケジュール策定」

「ペーパータオルの導入」

「食器の管理方針策定」

「食材の選定と調理及び保存方針策定」

「昆虫・ダニ類による感染への対策方針策定」

「娘と出掛ける場所の制限及び外出時の注意事項の明確化」

・・・他にも細かくあるんですが、とにかく良く考えられています。

 

「まぁ、わたしには、これぐらいしか出来ないからさ」

 

と妻は言いましたが、これは本当に、自分一人ではケア出来なかった事だろうと思いますし、正直、妻は、こういう事には割と無頓着な方だと思っていたので、その緻密さに驚きました。

 

また、それ以上に、確定診断を聞いて気落ちしていた(ように見えた)状態から半日で、いつもの調子を取り戻してくれた精神力の強さにも驚きました。

僕としても、なるべく普段通りに接してもらいたいと思っているので、この点も本当に助かります。

 

これから、妻と娘には色々と手間を掛けさせてしまう事になると思いますが、どうぞ宜しくお願いします。