無知の知菴 〜悪性リンパ腫罹患者の日常〜

結節硬化型古典的ホジキンリンパ腫と診断され、経験した事、学んだ事、思う事。

がん保険について②

前回の記事で、還元率という観点から「医療保険というのは、基本的に博打の要素が強い商品」だと書きました。

 

では、日本における(事実上、認められている)ギャンブルについて、算定可能、ないしは公開されている還元率がどの位なのかを以下に列挙します。

 

宝くじ:約45%

サッカーくじ:約50%

競馬・競輪・競艇オートレース:約75%

パチンコ・パチスロ:約85%

 

先ほど述べた医療保険の還元率の範囲と、ほぼ同じですかね。

 

もう少し、個人的な所感を述べるとすると、医療保険の還元率の「最高で8割」という部分は本当に稀で、大半は5割前後の還元率だと思います。

還元率だけの観点から言えば、医療保険は「病気の宝くじ」と言えなくもありません。

 

宝くじを買った事がある人は多いと思います。

僕自身も、何度か買った事があります。

 

で、1等当選とは言いませんが、少なくとも、公表されている数字通り「これまで買ったお金の45%が当選金で戻って来ている」という人、いますか?

 

僕自身は、そういう経験はありませんし、そういう人を見た事もありません。

 

世間一般の、宝くじに対するイメージって

「滅多に当たらないと思うけど“もし当たったら”と考えるだけで夢がある」

という感じじゃないでしょうか。

 

医療保険が、そういう性質の商品なのだとすれば、一般論としては、人に勧める事は出来ません。

 

故に、前回の記事の冒頭に書いた通り、僕は「医療保険不要論者」な訳です。

将来の医療費への備えとして貯蓄しておいたお金は「100%の還元率」ですからね。

 

しかし、医療保険と言うと、大人であれば「入っていて当たり前」というイメージもあるように感じます。

 

「え?保険入ってないの?何があるか分からないんだから、入っておいた方が良いよ」

 

とか言われたりした事はあるのではないでしょうか。

これは、保険会社の努力の賜物であるとしか言えず、本当に関心しますね。

 

逆に言えば、そういうイメージを世間に広められるだけの広告宣伝費等の経費をかけて、その上で会社として利益が出るだけの「胴元の取り分」がある訳です。

 

話を元に戻します。

 

医療保険を博打的観点から見ると、賭けに勝とうとした場合、自分が胴元よりも有利な情報を持っているかどうかが重要なポイントとなります。

 

僕の場合は、祖父母の代から僕に至る三代の病歴と、それを「どのように分析したか」という情報です。

 

医療保険は、加入するにあたり、自分の健康状態や「告知事項」と呼ばれる情報を提出しなければなりません。

場合によっては、医師の診断書や各種検査結果等を添付する必要もあります。

 

保険会社は、この内容を見て、保険を引き受けるかどうかを判断します。

告知事項に虚偽の申請があった場合、保険金が支払われない事がありますので、告知事項は事実を正確に記入しなければなりません。

当然、僕も虚偽なく、正確に記入しました。

 

ただ、僕からすれば、この告知事項の内容では、保険会社は正確なリスク判断は出来ないだろうと思われます。

 

当然、保険会社としても、そんな事は重々承知の上で、この告知事項を設定している事は分かります。

あまり厳密で執拗な質問をした所で、そんな事は分からない、あるいは覚えていない人が大半ですし、あまり加入条件のハードルを上げ過ぎると、保険に加入してもらえなくなりますからね。

 

もし、保険会社として「5割の還元率でOK」と考えているのだと仮定すれば、ある程度ゆるい条件で、まずは保険に加入してもらうの事が前提になるでしょう。

で、加入者の「2割が主な支払対象者であればOK」くらいの感じで考えているのではないかと思います。

 

具体的な根拠もありませんので、詳しくは書きませんが、僕のケースというのは、保険会社が想定している、典型的な「主な支払対象者」の範囲なのではないかと思います。

 

ちなみに、僕の場合の現時点での合計還元率は263%。

 

この数字は、仮に僕が、これまでに100万円の保険料を払ったのだとすれば、その保険料に対して、263万円の保険金が支払われるという事を意味しています。

で、この263万円が、全体として5割の還元率になる為には、526万円の保険料が必要になる訳です。

 

つまり、これまでの前提が正しいと仮定すれば、僕への保険金を負担する為には、同じタイプの保険に、同じ保険金額で加入して、全く保険金が支払われない加入者が、僕以外に4.26人必要だという事になります。

 

これまでの考察には、信憑性の高いデータが欠けている部分が多々ありますし、言ってみれば「当て推量」の部分も多い為、あくまでも「僕の個人的な意見」という範疇を出る事はありません。

が、全体として見れば、それほど無茶苦茶な考察ではないのではないかと思います。

 

このように、医療保険と言うのは、ざっくりと

 

「5枚に1枚の当たりくじを100%の確率で引ける」

 

という根拠を、自分なりに持てる人ならば、加入して良いのだと思います。

 

ちなみに、5枚の全く同じ紙か何かを用意し、4つの外れと1つの当たりを作って、中が見えない箱か何かの中に入れて、引いてみて下さい。

やってみると、当たりくじを一発で(つまり100%の確率で)引くのが、いかに難しい事か、分かると思います。

 

一回目で引ければ、収支はプラスになります。

一回目で外れた場合、その外れくじを箱に戻して、二回目で当たりを引ければ、収支はトントンです。

が、それなら貯金しておけば良い訳です。

当たり前ですが、三回目以降であれば、収支はマイナスですね。

 

医療保険に入るというのは、そういう事だというのが、僕の考えです。