病期確定までの経緯その② S病院のクリニックでPET-CT
2017年6月2日(金)晴れ。
今日は、PET-CTを受けに、久し振りにS病院のクリニックへ向かいます。
S病院自体にはPET-CTの装置は無く、検査は必ず、こちらで行なうのだそうです。
S病院でPET-CTについて説明を受ける際「とにかく絶対に遅刻しないように」と、きつく言われています。
昔はさておき、近年は滅多に遅刻なんてしないんですが、何故か今日に限って、色々と不可抗力があり、本当に久し振りに遅刻しそうで、焦ります。
ついには、クリニックへ向かう途中、先方から電話が掛かって来て「今日はもう検査は出来ない」と言われる始末・・・・・いや、これは下手を打ちました。
改めて予約を取り直すように電話で指示を受けていると、横から
「今どこ?え?あと10分で来れる?」というイラついた声が聞こえて来ます。
電話口の方に
「あの、すみません。今から10分で来られますか?」と聞かれ
「大丈夫だと思います」と答えると
「少々お待ち下さい」と言われた後
「では、すぐに来て下さい」と言われます。
慌てて行って、何とか間に合いました。
皆様、本当に申し訳ありません。
さて、これだけ時間に厳しく言われるのには、ちゃんとした理由があります。
それは、PET-CTの撮像原理に関係しています。
今回のPET-CTでは、腫瘍細胞の活性状況の撮像を目的としています。
まず前提として、腫瘍細胞は正常な細胞の数倍から20倍程度のブドウ糖を消費するとしう特徴があります。
つまり、ブドウ糖の集積具合を見れば、がん細胞の活動の様子が分かる訳です。
ブドウ糖の集積具合を見ようとした時、例えばブドウ糖に放射同位元素を標識としてくっつけ、それを撮像すれば良さそうに思えます。
が、ブドウ糖は、身体の中で解糖されて、すぐにバラバラになってしまう為、集積の具合を上手く撮影する事が出来ません。
そこで、解糖で代謝されない、ブドウ糖に似た物質「FDG」に、半減期が適度に短く、扱い易い放射性同位体「18F」を標識としてくっつけた「18F-FDG」が開発されました。
この物質は、腫瘍細胞に上手く蓄積されます。
で、PET-CTでは、この「18F」の放出するガンマ線を検出して撮像する訳ですね。
簡単に言うと、がんの部分が光ります。
尚、18Fの半減期は、約110分です。
PET-CTの撮影では「18F-FDG」を注射してから1時間ほど安静にし、全身に行き渡ってから撮影しなければりません。
つまり、それだけで半減期の半分を必要とする訳です。
で、その後に撮影する訳ですから、薬剤は可能な限り、投与直前に調合する必要がある訳ですね。
さて、撮影着に着替えると、まずは体温と血圧、酸素濃度等を測定します。
その後、処置ゾーンに案内され「18F-FDG」を注射されます。
注射が終わると、小さく仕切られたブースの中にあるリクライニングチェアで安静にするように指示されます。
また、500mlのペットボトルの水を飲むように言われました。
ブースの中にはテレビ等も無く、注意書きには、本等を読んだり、スマホ等を触るのも駄目だと書いてあります。
簡単に言えば「黙って寝てろ」という事ですね。
仕方が無いので、目をつぶり、寝ながら待っていると、うつらうつらし始めた頃、ようやく名前を呼ばれました。
撮影の前に、トイレに行って尿を出しておくように言われます。
尚、その際「男性も座ってして下さい」と言われます。
「18F-FDG」に含まれる放射線量は2.2mSvで、これは我々が1年間に自然界から受ける放射線の量と、ほぼ同じです。
そう考えると、尿の飛沫による被曝など大した量では無さそうに思えるのですが、医療機関で働く人の側から見ると、案外無視出来ない量なのかも知れません。
その後、撮影自体はすぐに終了。
撮影終了後は、先ほどのブースで再度30分ほど待つように言われます。
同意書に「初回撮像の後、時間をおいて再度撮像することがある」とあるが、その為の待機なんですかね。
結局、何事も無く、そのまま検査は終了。
お会計をして、会社に向かいます。
尚、これまでの撮像費用は以下の通り。
・MRI(1.5T/造影剤有):5,910円
・CT(胸部/16列以上64列未満マルチスライス/造影剤無):4,620円
・CT(胸腹部/64列以上マルチスライス/造影剤有):8,787円
・PET-CT(18F-FDG使用):27,795円
ちなみに、一般的なレントゲン撮影は1,000円強といったところです。
うーん、PET-CTは格段に高い。
人間ドックなんかで、保険適用外で撮影すると10万円もかかるっていう事ですね。