兄の前立腺がんと福岡滞在後半の話
「ところでさ、実は俺、前立腺がんなんだよ」
予想もしていなかった兄の言葉に、一瞬、事態を理解する事が出来ませんでした。
・・・・・え?・・・・兄貴が、前立腺がん?・・・・・。
祖母と父ががんになった事をきっかけとして、僕はがんの事を割と詳しく勉強するようになりました。
また言うまでもなく、自分が悪性リンパ腫に罹患した事もあり、様々ながんに関する最新の情報についても幅広く収集してる方だと思います。
で、僕の認識では、基本的に前立腺がんは比較的進行が遅く、初期の段階で発見する事が出来れば大事には至りません。
「それで・・・病状はどうなの?」
兄の話によれば、病状としてはかなり初期の段階で、慌てて治療をする必要は無い状態であるようです。
したがって、現在は経過観察中なのだとか。
患部の状態にもよりますが、初期段階の前立腺がんの場合、治療を行なうとすれば小線源治療等の放射線治療が第一の選択肢となりそうです。
どのような治療方針になっているのかを兄に聞いてみたところ、やはり小線源治療が検討されているようで、前立腺がんの小線源治療で多くの実績がある三重大学病院で診てもらっているとの事でした。
兄から色々と話を聞いた上での結論としては、それほど深刻な状況ではなさそうなので少し安心しました。
が、まさか兄までもが病気の事を伏せていた事は知る由もなく、本当に驚きましたね。
確認はしませんでしたが、きっと兄も僕と同様に「治療がひと段落するか、死ぬ事が確定してから話そう」と思っていたのではないでしょうか。
それにしても、今日は病気の話はそこそこにして、甥っ子二人の進学祝いを中心にするつもりだったんですが・・・何だか彼らには申し訳ない感じになってしまいました。
二人には、どこかでまた改めてお祝いをしたいと思います。
次の日は墓参りへ向かいました。
お墓は福岡の中心部から少し離れた小高い山の上の霊園にあるのですが、何と言うか、とても雰囲気が良く、ここに来るといつも何故だか穏やかな気分になります。
その為、言葉が適切かどうかは分かりませんが、僕も妻も(そして恐らく娘も)非常に気に入っている場所です。
いつもは12月に来ているので気が付きませんでしたが、この時期は桜もたくさん咲いているんですね・・・桜の花が大好きな娘は、とても嬉しそうにしています。
その光景を見ていると、親に孫を見せてあげられなかった事が本当に悔やまれました。
特に母親は、僕が子供の頃からずっと「女の子が欲しかった」と言っていましたしね。
また来年来ます。
今度は久しぶりに父の命日辺りにしてみようかな。
墓参りからホテルへ戻った後、少し休んでから夕食へ向かいました。
今日のお店は「河太郎」です。
前日の「吉塚うなぎ屋」に続き、こちらも地元の超有名店で、イカの活き造りを名物としています。
実は前回、福岡に来た際、娘はイカの活き造りを非常に気に入り、それ以来「福岡に行ったら、またイカさん食べるんだー」と言っていました。
ので、一応イカの活き造りの「元祖」という事になっている「河太郎」には行っておくべきだろうと思い、予約をしていた訳です。
「河太郎」には生簀があり、その周りを囲む席がありますので、そちらの席に案内してもらいました。
生簀で泳ぐイカを見て娘は大興奮、出て来た活き造りに触って大興奮、食べて大興奮と、ちょっとしたイカ祭り状態です。
いや、ここまで楽しんでもらえると、連れて来た甲斐があるってもんですね。
ところで、妻はイカやタコといった頭足類にアレルギーがあり、普段は食べる事はありません。
が、活き造りの透明な刺身と、それを美味しそうに食べる娘や僕の様子を見て、妻が思わず「食べてみたい」と言い出しました。
恐る恐る、一切れ食べてみたところ・・・・・新鮮なせいでしょうか、アレルギー反応は出ませんね。
生まれて初めてイカの活き造りを食べた妻は「イカのお刺身って、こんな味なの?」と非常に感動している様子。
勢いづいた妻は、後作りのゲソの天婦羅も一本だけ食べてみたんですが、それでも痒くなったりはせず、こちらも非常に美味しかったとの事。
もしかすると妻の場合、新鮮な物を少量食べる程度ならアレルギーは出ないのかも知れませんね。
妻は他にもゴマ鯖やおきゅうと、がめ煮といったお気に入りの郷土料理を食べる事が出来て大満足だったようです。
夕食後は散歩がてら、中洲の屋台街へ。
月曜の夜でしたが、割と賑わっており、美味しそうな屋台には待ちが出ています。
軽く串焼きでもつまむつもりだったんですが、待ってまで食べるようなものでもありませんので、今日のところは散歩だけにしておきましょう。
でも、気候が良くて、とても気持ちの良いお散歩でした。
さて、翌日は東京へ戻る日です。
飛行機は3時頃の便でしたので、昼食にうどんを食べてから帰る事にしました。
実は昨日の昼食も有名店の「うどん平」で食べたのですが、妻に「美味しい博多うどんのお店って他にもあるの?」と聞かれましたので、昔から評判の良い「葉隠うどん」に行ってみる事に。
ここは「うどん平」から独立したお店なのですが、僕もこれまで来た事はありません。
定番の「ごぼ天うどん」を食べてみましたが、うん、かなり美味しいですね。
妻の強い要望により、近年は福岡に来ると必ず「うどん平」には伺っているのですが、個人的には「葉隠うどん」の方が好きかも知れません。
是非、また来たいと思います。
今回の福岡滞在では、ブログに書いていない事も含めて本当に盛り沢山の出来事があり、何だかとても疲れました。
治療による体力の衰えもあるのだとは思いますが、やはり兄の病気を知った事による精神的な負荷も大きかったのではないかと思います。
兄から話を聞いた感じでは恐らく大丈夫だとは思うのですが、とにかく大事に至らない事を祈るばかりですね・・・。