無知の知菴 〜悪性リンパ腫罹患者の日常〜

結節硬化型古典的ホジキンリンパ種と診断され、経験した事、学んだ事、思う事。

抗がん剤による脱毛に備えて美容院へ

2017年6月24日(土)晴れ。

今日は、美容院へ髪を切りに行きます。

 

ABVD療法に使用される抗がん剤には、副作用として脱毛を引き起こす物が含まれています。

具体的には「ドキソルビシン」と「ブレオマイシン」の2つで、脱毛を引き起こす程度としては、それぞれ「高度」と「中度」とされています。

 

実際の脱毛の程度や経過は個人差が大きいようですが、脱毛から毛髪再生までの経過は、概ね以下のようなものだとされています。

 

・脱毛開始:抗がん剤治療開始後1〜3週間後

・脱毛停止:抗がん剤治療終了後3〜6週間後

・発毛開始:抗がん剤治療終了後1〜2ヶ月後

 

抗がん剤治療を開始したのが6月15日ですから、この日で9日目。

僕の場合は、まだ脱毛は始まっていません。

 

ところで、いつからか正確には覚えていませんが、僕は基本的な髪型を10年以上変えていません。

まず、髪質がくせ毛なので、散髪時には必ずストレートパーマをかけています。

その上で、ショートに刈り込み、散髪時〜4週間位はワックスで髪をボサボサに立てています。

そこから2〜3週間位は、少し伸びて来るのと、癖が戻って来て髪を立てにくくなるので、ややオールバック気味にして、再び散髪、というサイクルです。

 

さて、美容院では、いつもお願いしている美容師さんに

「病気の治療に使用している薬の影響で、これから髪の毛が抜ける」

という事と、脱毛対策として以下の方針を伝えます。

 

・脱毛により、かなり毛量が落ちると予想している。

・脱毛の仕方としては、恐らく、ほぼ均等に抜けると予想している。

・よって、いつもは、かなり梳いてもらっているが、基本的に梳かないで欲しい。

・また、今回はストレートパーマをかけず、くせ毛のままにしておく。

・上記2つの施策により、恐らく毛量減をカバー出来るのではないかと考えている。

・ストレートパーマをかけない為、最初からオールバック気味に整える事を前提としたカットしてにして欲しい。

 

これらの方針を聞き、美容師さんは工夫をしながらカットしてくれました。

 

「ほぼ梳いてませんし、ストレートパーマもかけてませんので、最初は少し扱いづらいとは思います。ただ、もし均等に脱毛するのであれば、しばらくの間は、これで対応出来る筈です」

 

さて、果たして目論見通り、上手く行くでしょうか。

 

尚、いつもはストレートパーマをかけていますので、大体2時間半〜3時間位かかるんですが、今回は1時間未満で終了。

 

何せ10年以上振りなので

「ストレートパーマをかけなければ、こんなに楽に終わるのか」

と、軽いカルチャーショックに見舞われます。

 

もしこれで、それなりに扱いやすいようであれば、今後はストレートパーマをかけないようにするかも知れません。

 

カット終了後、ビックカメラへ。

目的は、ヒゲトリマーの購入です。

 

僕は普段、リアルな(本当に全く手入れしない)無精髭を生やしており、伸びて不愉快になって来ると、ウェットシェーバーで綺麗さっぱり剃り落としています。

 

しかし、病院で貰った、抗がん剤治療のハンドブックによれば、ウェットシェーバーは使用せず、電気シェーバーを使うように、との事。

これは、骨髄抑制(白血球減少)による感染症対策の一つとして書かれています。

 

が、僕は、この電気シェーバーと言うヤツが昔から大嫌いなんです。

理由を事細かく追求した事はありませんが、とにかく不愉快で、文字通り「肌に合わない」としか言えません。

 

幸いな事に、昨今は仕事上でも髭を生やしている事が問題視されないケースが増えて来ましたし、僕自身の環境も、髭に全く問題はありません。

よって、ウェットシェーバーが使えないのであれば、わざわざ大嫌い(且つ高価)な電気シェーバーなど買わずとも、ヒゲトリマーで十分な訳です。

 

で、自分なりに色々と調べた上で、今回はパナソニックの「ER2403PP」という機種を購入しました。

とは言え、まだそれほど髭が伸びている訳ではありませんので、使うのは、しばらく後になりそうです。

 

従って、使用感等については、また後日、機会があれば書いてみたいと思います。

小林麻央さん逝去の報道で改めて思う事

2017年6月23日(金)晴れ。

湿度も低く、気持ちの良い天気です。

 

この日、小林麻央さん逝去の報道がありました。

 

僕は、小林麻央さんや、彼女の家族・親族の方々と面識があった訳でもありませんが、何と言うべきか、純粋に、お悔やみ申し上げます。

 

以前の記事「がん家系?」にも書きましたが、僕は父をがんで亡くした事を契機に、がんを「将来、自分の身に必ず起こる事」として捉えるようになりました。

ですから、がんに纏わる様々な情報には常にアンテナを張っている方だと思います。

 

bonyoh.hatenablog.com

 

その中でも、小林麻央さんの病気に関する一連の報道(や、職業柄得られた、公表されていない情報)には、考えさせられるものがあります。

と言うのも、小林麻央さんの件に関しては、ある意味「がん治療に纏わる諸問題」が凝縮されていると思うからです。

 

「がん治療に纏わる諸問題」には、文字通り、幾つもの問題があるのですが、その中でも特に大きいのは

 

「がんになった事を、いつ、誰に、どのように伝えるか」

 

だと思います。

 

この選択により、ある意味、本人の意思とは無関係に、その後の身辺状況が大きく変化して行く事になります。

それは往々にして、少なからず治療にも影響を与えてしまいますし、結果として、予後にも影響を及ぼすのではないかと推察されます。

 

小林麻央さんの件に関しては、100%の信頼がおける情報を得ていた訳ではありませんので、滅多な事は言えません。

 

が、彼女の社会的立場を考慮すれば

「がんになった事を、いつ、誰に、どのように伝えるか」

という問題に関しては、かなり難しい判断を迫られたのではないかと思います。

 

小林麻央さんの闘病の経緯等に関しては、様々な情報が公表されています。

そして、これに対し、色々な論調や言説が存在します。

 

それらに対して、僕は、このブログ上で、とやかく言うつもりはありません。

ただ、一つだけ言えるとすれば

 

「彼女の選択は理解出来る」

 

という事です。

 

繰り返しになりますが、色々な意見はあると思います。

しかしながら、結局のところ

 

「がんになった人(や近親者)にしか分からない事が沢山ある」

 

のです。

 

僕がよく言う言葉を使わせて頂くと

 

「どれだけ説明を尽くしたとしても、コーラを飲んだ事の無い人間にコーラの味を理解させる事は出来ない」

 

という事ですね。

 

勿論、僕も、彼女と同じ病気になった訳ではありません。

が、治療や生活において、似通った事、少なくとも「同種」と言って差し支えの無い経験はしています。

 

その上で「彼女の選択は理解出来る」と思う訳です。

 

ここで決して勘違いしてはならないのは、その選択が

 

「正しいかどうか」

 

また

 

「何を以て“正しい”とするか」

 

については、別の問題だという事です。

 

小林麻央さんの件に関しては、この点をキチンとわきまえていない論調や言説が多過ぎるように思います。

 

尚、これらの点も踏まえつつ、この記事を書いている時点(2017年8月)で、僕は自分が悪性リンパ腫になった事については「ほぼ非公開」です。

知っているのは、基本的に、会社の専務と、保険会社の人だけです。

 

やみくもに情報を絞ったり隠したりする事を是としている訳ではありませんが、この問題は、本当に慎重に判断した方が良いと思います。 

 

うーん・・・今回の記事は、何と言うか、奥歯に物が挟まったような言い方しか出来ませんでした。

禁煙の影響か抗がん剤の影響か

2017年6月19日(月)晴れ。

気温が30℃を超え、暑いです。

 

抗がん剤治療開始後、初出社です。

骨髄抑制によって免疫力の低下が始まっている筈なので、これからはマスクの着用が欠かせません。

 

実は、僕はマスクを着けるが大嫌いで、これまで、余程の事が無い限り、マスクをした事がありません。

それだけに、みんなから「珍しいですね」とか「どうしたんですか?」と聞かれます。

 

会社としては、僕が悪性リンパ腫になった事については、当面の所、みんなには伏せておく方針です。

いつ、どういう形で明かしますかね・・・。

 

さて、この日は禁煙6日目です。

以前の記事「禁煙の方法について自分なりに思う事」でも書いた通り、既に72時間は経過していますので、ここからしばらくは記憶の中のタバコとの闘いですね。

 

bonyoh.hatenablog.com

 

僕の会社にはクリーンエア・スカンジナビア社の喫煙ブースが設置してあります。

これは非常に優れ物で、排煙ダクト等の工事が不要であるにもかかわらず、正しく使用すればタバコの煙がブース外に漏れず、フィルターで完全浄化されるという製品です。

 

なので、オフィスの中にブースを設置しても、室内の空気を汚す事無く、喫煙者と非喫煙者が同居出来る訳です。

メンテナンスフィーは決して安いとは言えませんが、業務効率を考えれば、費用対効果は大きいと思います。 

 

ブースでは、喫煙者が談笑しながらタバコを吸っています。

あの「場」に参加出来なくなったのは、本当に残念でなりません。

 

近年、タバコって嫌われてますよね。

まぁ、それに対して、この記事でどういう言うつもりはありません。

 

が、タバコは、喫煙という「場」における情報の収集及び伝播(場合によっては指示を含む)という観点で、非常に優秀な機能を持つ製品(及び文化)だと思います。

 

これに対し、生粋の非喫煙者からは

 

「そもそも我々はタバコを吸った事が無いが、それでコミュニケーションや情報の不足を感じた事は無い。故に、タバコがコミュニケーションツールとして有用であるという言説は喫煙者の戯言である」

 

的な意見が聞かれます。

 

はっきり言いますが、それは、喫煙者のコミュニティに属した事の無い人間の戯言なんですよ。

論証の根拠となるべき比較データを欠いた上での言説ですので「妄言」と言っても良いかも知れません。

 

僕は両方の立場を経験している訳ですが、公平に見て、少なくとも「情報」という観点では、喫煙の「場」には非常に大きな価値が存在する思います。

 

ところで、この時点で、僕が身体に感じる症状の中に、以下のようなものがあります。

 

睡眠障害

長い時間、連続して眠る事が出来なくなりました。

連続して眠れるのは最長でも3時間程度です。

また、これに伴い、日中に眠気に襲われる事も多くなりました。

 

末梢神経障害】

主に手足、それから口の中に若干の痺れを感じます。

その一方、皮膚感覚は鋭敏になった感じもあり、この2つが共存する理由が良く分かりません。

 

浮遊感】

何と言うか「フワフワして地に足が着かない」ような感覚があります。

「身体の周りに見えない膜がある」ような感じと言っても良いかも知れません。

 

これらは、抗がん剤の影響か、禁煙によるも影響かが分かりにくいです。

抗がん剤の副作用や禁煙の離脱症状について、身を以て体験した事を書こうと思っていたんですが、この2つを同時にスタートしたのは失敗でした。

 

ちなみに、禁煙について、もしかしたら役に立つかもしれない情報を一つ。

 

僕は2017年6月14日に入院した時から、食べ物や飲み物によって、禁煙の離脱症状等(記憶による喫煙欲を含む)が緩和出来ないかを模索し、実際に色々な物をテストして来ました。

 

個人的な結論としては、タバコを吸いたくなったら

 

・アーモンドチョコレートを食べ

・一緒に冷たい水を飲み

・深呼吸をする

 

というのが、体験上、最も効果が高いと思います。

 

この理由については、機会があれば、別の記事で書いてみたいと思います。

 

ちなみに、一般的に良く言われている「ガム」「飴」「ミントタブレット」等は、個人的には、むしろ逆効果であるように感じました。

 

尚、アーモンドチョコレートについては色々な種類の物を試しましたが、2017年6月時点では、明治から出ている「アーモンドチョコレートカカオ70%」がおススメですね。

 

退院時のトラブル(あるいは医師という種族について)

2017年6月16日(金)晴れ。

今日は暑いです。

 

今日、退院のつもりでいたので、朝食後、荷物を整理します。

採血に来てくれた看護師さんに、退院の手続について尋ねると

 

「えっと・・・今日まで入院で、明日、退院の予定になってますね・・・」

 

?これは話が違います。

 

「あの、主担当医の先生からは、今回の入院は2泊3日の予定と言われてますし、3泊4日へ変更する旨の連絡も受けた記憶がありません。どういう事なのか確認したいので、ちょっと先生を呼んで来てもらえますか?」

 

と看護師さんにお願いします。

 

しばらくすると、ラインを取った研修医が来ます。

 

「・・・あの、主担当医の先生は?」

 

「あ、ちょっと今、こちらに来る事が出来ませんので、僕が代わりに・・・」

 

「・・・・・・・・・・・仕方ないですね。じゃあ、まず・・・」

 

この段階で、僕はかなり頭に来ていました。

少なくとも入院日数を僕に何の断りも無く変更した事は病院側に否がある訳ですから、百歩譲って本人が来られないのだとしても、上司が来るべきなんじゃないですかね?

 

その事も含め、僕の主張と、何故今日も入院していないといけないのかについて、矢継ぎ早に研修医に質問します。

 

研修医は

 

「・・・あの、ちょっとお待ち頂いて宜しいですか・・・」

 

と言って病室を出て行ったと思ったら、今度は別の医師を連れて来ました。

初めて会う医師でしたが、こういう状況であるにも関わらず、名乗りもしません。

 

また、研修医は僕の言った内容をほぼ伝えておらず、改めて同じ内容を話すはめに。

その事で、僕のイライラはピークに達します。

 

が、仕方ないので、努めて冷静に、研修医にした話を再度繰り返します。

その結果、新しく来た医師は、結論として

 

「それは医師が決めた事ですから、従って頂かないと」

 

の一点張り。

 

「だから、そこに必然性があれば従うと言ってるんです。医師が決めようが猿が決めようが構いませんが、必然性があれば従うし、無ければ従うつもりはありません。その必然性を説明してくれと、さっきから何回もお願いしてるのに、何故、答えられないんですか?」

 

「・・・ですから、それは医学的な観点から立てられた治療計画に沿うもので・・・」

 

話になりません。

 

普段、仕事をしていても、こういう、どうしようもない担当者ってのはいますが、(少なくとも今回の)医師が悪質なのは、とにかく「一言も謝らない」事です。

今回の件なんて、医療事故とか、その手の類いのものでもないのに、ですよ?

 

徹頭徹尾、そういう文化、そういう種族の人達なんだろうと思います。

(勿論、こういう医師ばかりではなく、まともな医師もいる事は、僕も分かっています。あくまでも「一般論」として、このような表現の仕方をさせて頂きました。)

 

正直、最初に「こちらの不手際で、大変申し訳ございませんでした」の一言があれば、僕としても、事を荒立てなかったかも知れません。

が、あまりにも不誠実、かつ、まともな理屈一つひねり出せない相手に対して、僕としても、もう引き下がるつもりはありません。

 

「とにかく、もうすぐ血液検査の結果が上がって来るでしょうから、その結果に余程の問題が無ければ勝手に退院しますので。文句があるんであれば、内容証明でも何でも送って来て下さい」

 

「いや、でも、急に退院されても、会計が出来ないんですよ」

 

「それは病院のシステム不備の話であって、僕が退院する事の是非とは関係の無い話ですよね?また、仮に今日は会計が出来ないのであれば、後日、請求書を送って頂ければ良いだけの話だと思うんですが、違いますか?」

 

「・・・・・」

 

大体、もし、それが理由で退院させないって事になれば、何の必要性もないのに、数万円もの差額ベッド代を僕に請求するって事になる訳です。

これ、立派な強要罪になるって事、分かってるんですかね?

もう本当にね、呆れて物が言えません。

 

その後、血液検査の結果が上がって来ましたが、何の問題もありませんでした。

無事(?)退院です。

また、その日に会計も出来ました(危うく詐欺罪も成立するところ)。

 

勿論、病気の治療においては医師や病院との信頼関係が大事だという事は分かります。

が、僕としては「医師だから」「病院だから」と言って、何もかも信頼するつもりはありません。

 

医師や病院が間違う事なんて幾らでもあります。

自分の身を守る為には、医師や病院の言う事を鵜呑みにするのではなく、自らきちんと勉強し、言うべき事があれば、はっきりと意見を述べる事が重要です。

 

この記事は、当時のメモを見ながら書いてるんですが、書き始めた当初は、もっと穏やかな内容になる予定でした。

が、書いているうちに、当時の記憶が蘇って来ると共に、ちょっとキツい言い回しが多くなってしまいましたね。

 

後日、内容を読み返して、必要があれば表現の仕方を変えるかも知れませんが、とりあえず、このまま公開します。

 

・・・・・僕が面倒臭い患者ってだけなのかなぁ・・・・・

抗がん剤治療その① ABVD療法1クール目前半

2017年6月15日(木)晴れ。

入院2日目。

 

今日から抗がん剤治療を開始します。

 

朝食を食べ終える頃、看護師さんがやって来て、イメンドカプセルを渡されます。

 

「10時頃から始めますんで、その1時間前、9時頃に飲んでおいて下さい」

 

言われた通り、9時に薬を飲み、メールの処理等をしながら待ちます。

 

 10時少し前、看護師さん2人と、研修医と思われる若い医師がやって来ました。

 

若い医師に「では、これから点滴のラインを取ります」と言われ、

僕は思わず「え?先生が取るんですか?」と聞いてしまいました。

 

すすと「はい。点滴のラインを取るのは医師じゃないと出来ないんです」と。

 

以前の記事でも少し書きましたが、僕は医療系の仕事にも携わっており、絶対にそんな事は無い筈だとは思いました。

が、そう言った所で看護師さんに代わってくれそうな雰囲気でもありません。

とりあえず、その時は何も言いませんでした。

 

正直、嫌な予感がします。

 

さて、ライン取りですが・・・・・

 

まぁ、はっきり言って手元がおぼつかなく(手震えてるし・・・)、痛いし、割と出血してますけど、大丈夫ですかね?

 

それでも何とか(無事に?)ライン取りは終了。

 

ちなみに、後日、先ほどの医師の発言の真偽について調べた所、平成14年9月の厚生労働省医政局長通知により

 

「医師又は歯科医師の指示の下に保健師助産師、看護師及び准看護師が行う静脈注射は、保健師助産師看護士法第5条に規定する診療の補助行為の範疇として取り扱うものとする」

 

となっています。

 

つまり、医師の言った事は

 

「完全な嘘とは言わないが、医師が指示をすれば、看護師さんがラインの確保を含めて点滴をしても良いとされており、事実上の嘘である」

 

と言う事です。

 

まぁ、教育目的があるのも分かりますが、抗がん剤の場合、血管外漏出の問題とかありますし、感染症とかシャレにならないので、正直、勘弁して欲しいですね・・・。

 

さて、前回の記事でも書いた通り、まずは制吐剤のミックスを滴下。

その後、いよいよ抗がん剤の滴下開始です。

 

まずはドキソルビシンから。

これは赤〜オレンジ色をした液体で、見た目がちょっと毒々しいです。

 

尚、この薬はクレンメ開放で滴下されます。

 

通常、点滴って「ポタッ・・・ポタッ・・・」という感じで、大体、1秒に1回くらい、点滴筒に落ちて来るイメージだと思います。

が、クレンメ開放だと「ポタポタポタポタポタポタポタポタッ!!」と、これまで見た事の無いペースで点滴等に落ちて来ます。

 

その異様さも相まって、何と言うか「劇薬感」満載ですね。

 

この薬剤が体に入って来ると、僕は口の中、特に舌の周りに軽い痺れを感じます。

 

次はブレオマイシン。

この薬剤は無色透明ですね。

これは通常のペースで30分ほどかけて滴下されますが、特に変化を感じる事はありません。

 

次はビンプラスチン。

これも無色透明の薬剤で、クレンメ開放で滴下し、すぐに終わります。

これも特に何か感じる事は無いですね。

 

で、最後がダカルバジン。

大ボスの登場です。

 

事前に調べていた情報から、このダカルバジンは、滴下中に「血管痛」を感じる方が割と多いようです。

 

実は、ダカルバジンが何故血管痛を誘発するのかという理由は完全には解明されていません。

今の所、有力なのは「diazoimidazole-4-carboxamide(Diazo-IC)」という物質。

これは、ダカルバジンが光にさらされると、分解されて発生する事が分かっています。

 

この事は、ダカルバジンの医薬品インタビューフォームにも

 

5–ジアゾイミダゾール–4–カルボキサミド(光により生成する発痛物質であることを示唆する報告がある)」

 

という記述があります。

 

 

その為、ダカルバジン調剤は暗所で速やかに行い、投与時には、投与ルートの遮光が推奨されています。

 

しかし、それでも「血管痛を防ぐには至っていない」というのが実情です。

また、現在の所、最適な調剤条件も明らかにはなっておらず、様々な医療期間で試行錯誤が続いているという、ちょっと厄介な薬剤です。

 

さて、僕の場合はどうでしょう?

 

ダカルバジンの輸液バッグとルートには、販売元が提供しているオレンジ色の遮光フィルムがかけられています。

ただ、遮光フィルムはルート全体はカバーし切れませんので、フィルムで覆われていない部分はアルミホイルを巻いてもらいました。

 

結論として・・・「血管痛」なる症状は、全く感じられませんでした。

 

抗がん剤治療に関しては、色々な情報が出回っており

 

「かなり個人差も大きいみたいだし、どれだけ辛いのかは実際にやってみないと分からないな」

 

と思っていました。

 

僕の場合、本当に全くと言って良いほど、抗がん剤滴下時の自覚症状は無く、正直、拍子抜けしましたね。

 

「何だ、正直ちょっとビビってたけど、意外と楽勝じゃん」

 

この時は、そう思っていました。

 

後に、己の愚かさを痛感する事になるとも知らず・・・

ABVD療法について

これまでお伝えしている通り、今回、僕が受ける化学療法は「ABVD療法」と呼ばれるものです。

今回、僕が罹患したのは「ホジキンリンパ腫」ですが、この病期に対する「標準治療」と呼ばれる治療方法には、幾つかのものが存在します。

 

「標準治療」とは、ザックリ言うと

「ある状態にある疾病に対して現時点で最良の結果が得られた事が科学的に証明されている治療方法」

の事です。

 

で、以前の記事「病気確定までの経緯その③」にも書いた通り、僕の場合は

 

「ABVD療法2クール+放射線20Gy照射」

 

となっています。

 

「ABVD」とは、使用される4種類の、いわゆる「抗がん剤」の頭文字を取ったもので、それぞれ以下の薬剤を示します。

 

A:ドキソルビシン塩酸塩(アドリアマイシン)

  ※アントラサイクリン系抗腫瘍性抗生物質

B:ブレオマイシン塩酸塩

  ※アントラサイクリン系抗腫瘍性抗生物質

V:ビンプラスチン硫酸塩

  ※植物アルカロイド

D:ダカルバジン

  ※アルキル化剤

 

これらの抗がん剤に制吐剤や沈痛剤を組み合わせた一連の薬剤のセットを2週間に1度、投与します。

 

最初に投与した日を「1日目」とすると、その2週間後、つまり「15日目」に2回目の投与を行ない、これを「1クール」もしくは「1サイクル」と呼びます。

 

僕の場合は2クールですから、合計で4回投与する訳ですね。

より詳細に言うと、僕の場合の1回の投与内容は以下の通りです。

 

尚、この内容は、医療機関や個々人により異なります。

下記はあくまで、S病院で僕(体表面積1.7〜1.8㎡)が受けた「ABVD療法」です。

 

1:制吐剤「イメンドカプセル(125mg)」を服用

※服用後1時間ほど時間を置く

↓ 

2:制吐剤「デカドロン注射液(13.2mg)」及び「アロキシ静注(0.75mg)」を点滴

※所要時間約10分

3:抗がん剤「アドリアシン注用(43mg)」(ドキソルビシン塩酸塩)を点滴 

※クレンメ全開で滴下/所要時間約5分

4:抗がん剤「ブレオ注射用(17mg)」(ブレオマイシン塩酸塩)を点滴

※所要時間約30分

5:抗がん剤「エクザール注射用(10mg)」(ビンプラスチン硫酸塩)を点滴

※クレンメ全開で滴下/所要時間約5

6:抗がん剤「ダカルバジン注用(650mg)」(ダカルバジン)を点滴

※所要時間約40分

7:生理食塩水(その日の状態で量は変動)を点滴

※点滴ルート内や留置針付近の血管の抗がん剤を洗い流す目的/所要時間は20〜30分

 

合計の所要時間は、薬剤交換等の時間を含め、大体、1回あたり3時間〜3時間30分くらいかかります。

 

尚、抗がん剤投与の翌日以降の内服薬として、以下の制吐剤が処方されます。

・イメンドカプセル(80mg):1日1回/朝食後/2日分(2錠)

・デカドロン錠(4mg):1日2回/朝・昼食後/3日分(6錠)

 

ここまでで1セットですね。

 

以前の記事「病期確定までの経緯その③」でも書きましたが、僕が抗がん剤治療において最も神経質になっていたのは悪心・嘔吐対策です。

 

bonyoh.hatenablog.com

  

仮に上記の制吐剤だけでは悪心・嘔吐が防げない場合、主担当医は以下の薬剤も処方する予定だったようです。

プリンペラン(メトクロプラミド)

・ノバミン(プロクロルペラジン

 

尚、抗がん剤同様、制吐剤にも作用機序別に様々な種類があり、今回の記事で登場した薬剤は、それぞれ以下の分類になります。

・イメンド(アプレピタント):NK1受容体拮抗薬

・デカドロン(デキサメタゾン):副腎皮質ステロイド

・アロキシ(パロノセトロン):5-HT3受容体拮抗薬

プリンペラン(メトクロプラミド):ドーパミン受容体拮抗薬

・ノバミン(プロクロルペラジン):フェノチアジン系抗精神病薬 

 

実は、このブログを書き始めた当初、抗がん剤や制吐剤について、一つ一つ、なるべく分かりやすく(出来れば池上彰さんばりに)解説しようと思っていました。

が、現段階では、時間的な問題もあり、一旦、諦めます・・・すみません。

 

でも、余裕のある時に、いつか必ず実現してみたいです。

 

さて、結果として、僕の場合、2クール/計4回のABVD療法で明確な「吐き気」を感じた事はありませんでしたし、実際に吐く事もありませんでした。

 

抗がん剤治療中は、診察・問診や各種治療等の度に、医師や看護師、薬剤師さん達から、必ず「吐き気はどうですか?」と聞かれます。

僕としては、上記のような状態でしたから「全く無いです!」と元気に答えていたんですが、その度に、全員から「あー、そうですか・・・良かったですね・・・」と、何と言うか「ちょっと残念」な感じで言われたのが意外でした。

 

好意的に解釈すれば「普通は何らかの症状が出る筈なのに、珍しいねぇ」と、単にレアケースに戸惑っているだけのようにも思えますし、悪く解釈しようとすれば・・・・・いや、止めておきましょうね、そんな事は無い筈です。

 

まぁ、それだけ、医療従事者にとっても「抗がん剤治療における悪心・嘔吐問題は非常に重要」だって事で。

 

ただ、この記事を書いている時点(2017年8月/抗がん剤治療は終了)で思うのは

「もし、3クール以上、この治療が続いていたら、吐いたかも知れない」

という事。

 

細かい事は、今後の記事で触れて行く事になると思いますが「たかが2クールのABVD療法」とは言え、決して「楽」とは言えませんでしたね。

禁煙補助剤について

前回の記事で、僕は禁煙補助剤の使用に非常に懐疑的な立場であると述べました。

今回の記事では、この事について私見を述べてみたいと思います。

 

本当は「そろそろ抗がん剤治療について書かなくては」と思っているのですが、話の流れ的に、とりあえず今回までは禁煙関連の話にしようと思います。

 

さて、2017年6月の時点で存在する「禁煙補助剤」には、大まかに分けて

「ニコチンを含む物」と

「ニコチンを含まない物」の2種類があります。

 

「ニコチンを含む物」としては「ニコチンガム」と「ニコチンパッチ」がありますね。

これらは要するに「タバコの代わりに身体にニコチンを供給する」訳です。

 

つまり

「禁煙によるニコチンからの離脱症状の緩和を目的とした薬剤」

なのであって

「ニコチン依存症の治療を目的とした薬剤では無い」

という事です。

 

肯定派の方は

「段階的にニコチンの摂取量を減らす事で禁煙を成功に導く」

とか言いそうですが、それは

「タバコを11本ずつ減らして行けば、いずれ辞められる」

とする理屈と同じです。

 

そんな理屈で禁煙する事が出来るのなら、誰も苦労しません。

  

また、百歩譲って、その理屈で禁煙する事が出来るのだとすれば、これらの薬剤は使用する必要が無いという事になります。

タバコを1日1本ずつ(ペースは別に2日に1本でも3日に1本でも1週間に1本でも構いませんが)減らして行けば良い訳ですからね。

 

更に言えば、仮に、これらの薬剤を使用する事で禁煙に成功したとしても、タバコの代わりにニコチンガムやニコチンパッチに依存する可能性があります。

事実、そういう報告も散見されますね。 

 

結論として、このタイプの禁煙補助剤を使う際、新たな依存症を生む可能性があるというデメリットはあっても、メリットはありません。

 

勿論、このタイプの禁煙補助剤を使って禁煙に成功した人達もいるようですが、そういう人達は、そもそも薬剤に頼らなくても禁煙出来た人だと思います。

 

次に「ニコチンを含まない物」としては「バレニクリン」という薬剤があります。

 

ここで、タバコを吸うと何が起こるかをおさらいします。

 

タバコを吸うと、ニコチンが体内に取り込まれます。

ニコチンは、脳内のニコチン受容体に結びつき、ドーパミン等の物質が分泌されます。

これにより、脳が幸福感や満足感等を感じる、というメカニズムがある訳です。

 

そもそも(少なくとも人間の)脳には「アセチルコリン」という神経伝達物質を分泌する機能があります。

非常にザックリとした言い方をすると、この「アセチルコリン」は、ニコチン受容体を含む「アセチルコリン受容体」に結び付く事でドーパミン等の物質の分泌を促し、それらにって、身体の状態を健全に保つという働きを持っています。

 

ニコチンは、アセチルコリンに似た構造を保つ物質で、体内に取り込まれると、アセチルコリンの代わりにニコチン受容体に結びついてしまいます。

従って、タバコを吸うと、脳のアセチルコリンの分泌能力が低下してしまい、代わりに代替物質であるニコチンを欲するようになってしまうのです。

 

「バレニクリン」は、脳内のニコチン受容体に結びつき、ドーパミンの分泌量を、ニコチンと結びついた時の半分程度に抑えるという効果があります。

これにより「まずは禁煙時の離脱症状を緩和する」という理屈です。

 

また「バレニクリン」を服用していた場合、仮にタバコを吸っても、既にニコチン受容体には「バレニクリン」が結合している為、ドーパミン等の物質が分泌される事はありません。

故に、タバコを吸っても「イマイチ美味くない(幸福感や満足感が無い)」と思わせ、喫煙体験の価値を減じようとする薬です。

 

結局の所「バレニクリン」はニコチン受容体へのニコチンの結合を阻害しているだけで、身体を正常な状態に導く、つまりアセチルコリンの分泌能力を回復させる訳ではありません。

要するに、抜本的なニコチン依存症の解決には結び付かないのです。

 

それだけならまだしも、この「バレニクリン」には非常に重篤な、かつ複数の副作用を引き起こすという報告がなされています。

 

もちろん、効能のある薬剤には副作用がつきものである事は分かります。

 

その上で、通常

「効能によるメリット≧副作用によるデメリット」

という関係が成立するのであれば、薬剤として意味があるです。

 

が「バレニクリン」に関しては、僕が調べた限りでは、副作用によるデメリットが大き過ぎると思います。

 

正直「バレニクリン」を使うくらいなら、禁煙なんかしない方が良いんじゃないでしょうかね。

  

うーん、でも、この話って、抗がん剤の是非に関する議論と似てますよね・・・。

 

禁煙補助剤に対する上記のような考え方とか立場って、特に珍しい訳ではなく、ネット上でも一定の割合で存在するように思います。

当たり前かも知れませんが、それに対する製薬会社の公式な反論というのは、なかなか見えてきませんね。

 

本当はどう思っているか、一度、本音を聞いてみたいものです。