無知の知菴 〜悪性リンパ腫罹患者の日常〜

結節硬化型古典的ホジキンリンパ腫と診断され、経験した事、学んだ事、思う事。

「母親」である事の難しさ(と己の無能さについて)

2017年9月11日(月)晴れ。

 

この日、仕事中に妻から電話がかかって来ました。

何となく予想はしていたのですが・・・出てみると、やはり、と言うか・・・電話口の向こうで、妻も娘も大泣きしています。

 

今日は妻が幼稚園のPTA活動に行く日だったのですが、最近、PTAに行くと、妻は非常に不安定になります。

これについては、妻の育った環境の影響は無視出来ないでしょうね。

 

妻と父親との関係が悪かった事は、以前の記事「入園式」でも触れた通りです。

 

bonyoh.hatenablog.com

 

加えて、実は母親との関係においても

「自分は母親から充分に愛情を注いで貰えなかった」

という風に感じているようで、妻としては、非常に寂しい思いをしたようです。

 

通常、そういう問題は、当事者である娘(妻)と母親が時間をかけて向き合わなければ、根本的には解決されません。

が、上記の記事でも書いている通り、妻のお母さんは既に亡くなられています。

 

妻としては、勿論

「娘には、自分みたいな思いをして欲しくない」

と思っているのですが

「愛情を注がれた経験の無い自分が、ちゃんと娘に愛情を注ぐ事が出来るだろうか?」

という不安を常に抱えているのだと言います。

 

また、妻は、僕の性格やら、僕が時折話す両親とのエピソードを通じ、僕の両親の子育ての仕方を参考にしたいようで、よく

「ととのお母さんに色々な話を聞きたかったな」

と言っています。

 

が、あいにく、僕の両親は既に他界しており、それも叶いません。

  

少し話は飛びますが、娘は幼児教室に通っていて、かなり年配の女性の先生に成長を見てもらっています。

その教室は、いわゆる「お受験対策」などは全く行わなず、とにかく「子供をのびのびと育てる」事を信条とした教室です。

 

その教室へ通い始めた理由の半分は、妻が子育てに関し、その先生に色々と相談を出来る事でした。

が、詳しくは述べませんが、ある日(の先生の発言)を境に、その先生への相談も控えるようになっています。

 

また、子供のいる友人も居なくはないのですが、ほとんどの友人の家庭は、あまり褒められた状態だとは言えません。

唯一、一人だけ、まともに相談出来そうな友人が居るのですが、その友人は非常に多忙な事もあって、妻は相談の電話を掛けるのを遠慮しているようです。

 

つまり、妻にとっては、子育てに関し、信頼出来る女性の相談相手が居ないのです。

 

そういう状況の中、PTAに行くと、子供を休園させている事もあり、色々と(本人の受け止め方としては)否定的な扱いを受けるようで、そうなると、一気に不安が爆発してしまうようです。

 

妻は、そういう心理状態に陥ると

・激しく落ち込む

・最近少し反抗的になって来た娘と本気でケンカしてしまう

・激しく叱ったりしてしまう(でも決して手は上げないようにしている)

という何れかの行動を取ってしまう事が多いようで、結果的に、激しく落ち込んでしまう事に。

 

心療内科のような所に行ってみようかとも真剣に考えたらしいのですが、その手の所を妻は(私もですが)全く信用しておらず、止めたとの事。

自治体等でも子育ての悩みに関する相談は受け付けているのですが、いつ電話しても繋がらないそうで、現在のところ、基本的に手詰まりの状態です。

 

こういう問題に対し、心理学的な(通り一遍の)解答が無い訳ではありませんが、妻が必要としているのは、そういう事ではないのです。

勿論、僕としても何とかしたいのはやまやまなんですが、僕に出来る事と言えば、とにかく妻の話を聞いて、なだめる事くらいしかありません。

 

尚、この日は、妻の中でも過去最大級に危険な状態だと感じたらしく、僕との電話を終えた後、前述した「唯一相談出来そうな友人」に電話をかけてみたのだそうです。

 

その結果、妻は非常に救われたらしく、且つ

「遠慮なんてしないで、ガンガン電話して来て」

との有難い言葉を頂いたのだとか。

 

「持つべきものは友」だとは言いますが、これには僕としても、本当に感謝しかありません。

 

「いや、そんなの、悩みの内に入んないよ。子育てしてたら当たり前の事でしょ」

 

言い方は色々あると思いますが、そういう内容の事を言われるのは分かってます。

僕自身(そして勿論、妻)も、頭では分かっているつもりだったんですが、いざ我が家(妻自身)の話となると、何と言うか、やはり「重さが違う」んですよね・・・。

 

改めて「知識とは、それだけでは何の役にも立たない」のだと思いました。

 

ブログのタイトルにもある通り「無知」である僕は、知識を活かす事の出来ないポンコツなのだと思い知らされます。

本当に情けないですね・・・。