典型的に体調が悪い日(あるいは「臭い」について)
2017年9月14日(木)曇り。
この日の朝は、かなり起きるのに苦労しました。
睡眠障害もさることながら、抗がん剤の影響で、体中が痛いです。
この痛みは独特で、どう言い表せば良いか、いつも考えているのですが、なかなか良い表現が見当たりません。
とりあえず、身体が軋むような感じで、普通の筋肉痛とはちょっと違うんですが、体のどこを触っても痛みがあります。
また、可動部を大きく動かしたり、速く動かそうとすると「力が抜けるような(?)」何とも言い難い感覚があります。
これは、一般的な用語で言う「痛み」とは違うのかも知れませんが、僕の感覚の中では、間違いなく「痛み」に分類される感覚です。
何とか布団から這い出て、体温を測ってみますが、とりあえず熱は無いようです。
今日に関しては、仕事の予定をキャンセルする事は難しい為、気合を入れてオフィスへ向かいました。
職場では、何とか業務をこなしますが、夕方くらいから「目がチカチカする現象」も出て来ました。
これも、僕にとっては馴染みの副作用の一つなのですが、この症状が出ると、PCのモニターを見る事が出来なくなってしまい、全く仕事になりません。
正確な表現が難しいのですが、視界全体に対して白い光が高速で点滅する感じになり、物が非常に見え辛くなります。
最初に、この現象が出た時は
「このまま抗がん剤治療を続けてたら失明するんじゃないか」
と思ったほどです。
ただ、AVBD療法での視覚障害は報告されておらず、何故この現象が僕に起こっているのかは分かりません。
恐らく神経障害の一種だとは思うんですが・・・。
とりあえず、この現象が出た場合は、30分〜1時間ほど、目をつぶって耐えるしかありません。
それにしても、いつもの事ですが、抗がん剤治療後、5〜6日目が一番辛いですね。
何とか仕事を終え、帰宅すると、妻から
「ちょっと大丈夫?顔色が悪いよ」
と言われます。
「いや、今日は身体中が痛くて・・・あと、例の目がチカチカするやつも出たよ」
と伝えると
「とにかく早くご飯食べて、すぐにマッサージしよ」
と言って、素早くご飯を用意してくれて、歯磨き後、ものすごく丁寧にマッサージをしてくれました。
実際には、いわゆる「マッサージ」だと痛くて耐えられないので、軽くさすってもらう程度なんですが、それでも場所によっては涙が出るほど痛いです。
近年、がん治療の中でも、特に抗がん剤治療は「目覚ましい進化を遂げている」と言われています。
確かに、次々と新しい薬も開発されていますし、既存の薬に対しても、吐き気を中心とした副作用を抑える薬剤や、その使用方法が発達して来ており、それに伴って、治療成績も向上しているようです。
実際、僕も吐き気に関しては、感じる事は皆無と言って良く、体力の維持という観点では非常に助かっています。
が「副作用を抑えられている」のは、決して「抗がん剤の身体に対するダメージが軽減されている」という訳ではありません。
それを強く感じるのは「臭い」ですね。
抗がん剤の副作用と言うと「吐き気」とか「脱毛」が代表的だと思います。
「便秘」もしくは「下痢」とか、今回のような「体の痛み」というのも割と多く聞かれますね。
でも、実は僕としては、地味に辛いのは「臭い」です。
少なくとも僕の場合、抗がん剤を始めてから、体から出る臭いが変わりました。
特に排便時やオナラの臭いが独特な物に変わります。
(※食事中の方がいらしたら申し訳ありません)
あの匂いは、何と言うか、鮮度の落ちた臓物の臭いに近いものです。
抗がん剤の場合、がん細胞だろうが健常な細胞だろうが、とにかく無差別に死滅させてしまいます。
その結果、身体の各所が大きなダメージを受ける訳ですから、排泄物から大量に死んだ細胞の臭いが強く出る事は想像に難くありません。
こういう言い方は不謹慎に取られるかも知れませんが、父や母が亡くなった際に亡骸から感じた物とも違う独特な臭いで、これが鼻の奥にこびりついて取れないんです。
個人的には、割と辛いですね。
がんの有無を、犬に臭いで判断させる実験なんかも進んでるようですが、犬は恐らく、僕が感じている、この臭いに類する物を嗅ぎ分けているんじゃないかと。
で、判別率がどうしても100%にならないのは、この臭いは、がん患者のみならず、通常よりも急激に細胞が死滅している人間、つまり、何らかの病や死期が迫っている人間に共通の臭いだからなんじゃないかなと思います。
全く根拠はありませんが。
妻に念入りに身体をさすってもらい、大分、楽になりました。
子育てやら家事やらに追われて疲れてるだろうに、本当にありがとう・・・
妻には感謝しかありません。