無知の知菴 〜悪性リンパ腫罹患者の日常〜

結節硬化型古典的ホジキンリンパ腫と診断され、経験した事、学んだ事、思う事。

確定診断までの経緯その⑯ S病院へ入院し生検(後編)

手術室の前のゾーンに、妻と娘が居ました。

僕が手術室へ移動する直前に病院へ来たらしく、こちらへ誘導されたのだそうです。

娘が、とても不安そうな顔をしています。

 

次の部屋までは家族も一緒で良いとの事で、自動扉の先へ進みます。

ここで執刀医の方とご対面。

上手く説明出来ないのですが、何だか頼もしい感じの女医さんです。

 

手術の内容を簡単に説明して頂き

 

「では、行きましょう」

 

と促されます。

 

妻が「よろしくお願いします」と頭を下げると、娘も大きな声で「よろしくお願いします!」と言いながら、深々と頭を下げます。

これには執刀医の先生も笑顔。

 

「はい、お任せ下さい!」

 

と、娘に向かって言って頂きました。

 

手術室に入ると、スタッフを紹介されます。

当たり前かも知れませんが、耳鼻咽喉科の担当医も手術室にスタンバイしていました。

 

ここで、執刀医と担当医の間で「どこを切るか」について、少し議論がありました。

執刀医としては「身体への負担と神経に対するリスクが最も低く、かつ病理検査に適した検体採取箇所」という観点から、ある箇所を主張。

これに対し、担当医は「病理検査に最も適した検体採取箇所」という観点で、別の箇所を主張します。

 

結局、執刀医が担当医を諭すような形で検体採取箇所が決まりました。

執刀医の方が明らかに上席と思われるので、当然の事なのですが、何と言うか、このやりとり一つを取っても、医療現場における指導者の苦労が垣間見え、なかなか興味深かったです。

 

手術台の上で横になると、色々と調整が入ります。

左手の痺れの事を伝えると、術中の姿勢に関しても工夫して頂き、僕としても「これなら大丈夫」というポジションを確保出来ました。

 

「では、局所麻酔をして行きますねー」

 

首に注射を打たれます。

少し時間を置き、麻酔の効きをチェックしてから、いよいよ切開です。

 

痛みは全くありません。

が、ここで一つ問題が。

 

どうやら、切っているのは担当医の方らしいのです。

僕が「執刀医」と書いた女医さんは、横で担当医の指導をしている様子。

一気に不安になります。

 

少しすると、電気メスなのかレーザーメスなのか超音波メスなのか分かりませんが「ジリジリ」という音と共に肉が焼ける匂いがします。

麻酔のおかげで痛くはないんですが、何とも嫌な気分。

 

その後は金属メスで手術が進んで行きます。

で、ですね・・・詳しくは書きませんが、手術の間、ずっと、上席の女医さんが担当医を指導する訳ですよ。

その「指導」のトーンは、徐々に「叱責」に近いレベルに。

「あのね」「だから」「何度も言うけど」等の言葉が増えて行きます。

そして、ある時、僕の左腕がビクビクと大きく痙攣。

 

「それ神経だから!しっかり見て!」

 

・・・・・いや、教育って大事ですよね。

分かります。

誰だって経験積まなきゃ、成長しません。

ただね、僕からすれば、本当に勘弁して欲しいです。

 

その後、何とか無事に手術は終了。

左腕の神経も、大事には至りませんでした。

 

それにしても、手術中、痛みを全く感じなかったのは驚きでした。

逆に言えば、麻酔薬って、どれだけ毒性が強いのかと。

 

手術室を出た後、ちょっとした手続きで待っている時

 

耳鼻咽喉科の先生が全員見学に来てましたよ」

 

と、看護師さんに教えてもらいました。

これは滅多に無い事らしく、僕の症例が、それだけ珍しいという事なんでしょうか。

まぁ確かに、J病院では、そう言われましたが。

 

手術室の前のゾーンに、妻と娘が、まだ待っていてくれました。

 

傍に行くと、娘が無言で足元にしがみ付いて来ます。

 

ありがとう。

心配掛けて、ごめんね。

 

病室に戻り、抗生剤等の点滴を受けながら、少し眠ります。

 

18時頃、看護師さんに起こされ、夕食を食べたのですが、不思議な事に、何を食べたのか、全く覚えていません。

 

勿論、僕が毎日何を食べたのかを記憶している人間だという訳ではありません。

が、こういう印象的な日に、何を食べたのか、それがどんな味だったのかを忘れるというのは滅多に無い事です。

それだけ、入院とか手術に対するインパクトが大きかったという事なんでしょうか。

 

最終的に点滴が終了したのは23時頃。

結構かかるんですね。

 

点滴が終了して、少ししてから、病院を抜け出します。

病院の周りを散歩しながら、煙草に火を付けました。

 

頭がグラリとします。

煙草を吸って、こういう感覚になるのは、本当に久しぶりです。

 

何だか、学生の頃を思い出しました。

確定診断までの経緯その⑮ S病院へ入院し生検(前編)

2017年5月10日(水)曇り。

最近の気候の中では、今日は、少し肌寒いですね。

 

今日から一泊二日でS病院に入院し、生検です。

入院なんて、本当に久し振りですね。

二十歳くらいの頃、一度だけ、交通事故にあって緊急入院した事がありますが、それ以来です。

もちろん生検は初めて。

 

とりあえず必要そうな物を妻が詰めてくれたショルダーバッグを持ち、S病院へ向かいます。

 

入院受付の窓口で受付を済ませ、しばし待機。

周りの人は、みんなスーツケースなんかを持って来てて、割と大荷物ですね。

 

僕の場合、家がすぐ近くなんで、妻には

 

「何か必要な物があったら、すぐに持って行くから、遠慮しないでねー」

 

と、言ってもらってます。

感謝。

 

ほどなく、案内の方に導かれ、病室へ。

設備やら食事やら規則やらに関し、一通りの説明を受け、看護師が来るまで待つように指示を受けます。

 

病室は、まぁ、想像通りと言えば想像通りなんですが

 

「これで、あの室料差額かぁ・・・」

 

というのが本音ですね。

 

バッグから荷物を取り出して整理したり、部屋の設備をいじったりしている所に、看護師さん登場。

まずは本日のスケジュールについて

 

「予定では、お昼頃から生検なんですが、今日は少し遅れているようです。

もしかしたら2時くらいになっちゃうかも知れません。

でも、念の為、午前中には、こちらの手術着に着替えておいて下さい」

 

との事。

それから、体温、血圧、酸素飽和度等を測り、その後、採尿に関する指示を受けます。

で、再び待機。

 

丁度その時、妻から電話が掛かって来ました。

娘を幼稚園に送った後、必要な用事も済んだので

 

「とりあえず行こうと思うんだけど、何か必要な物とか無い?」

 

とか聞かれたので、ホットコーヒーと枕を頼みました。

 

病室に入った後、ベッドに横になってみて、まず思ったのが「この枕では眠れない」という事。

とは言え、僕は枕が変わると眠れないとか、そういう体質ではありません。

以前、このブログで「左手の痺れ」という記事に書いた通り、寝る時の姿勢に制限がある状態が続いている為です。

 

bonyoh.hatenablog.com

 

さて、電話を切った後、煙草を吸いに出掛けます。

この記事を書いている今日の時点では、既に煙草は止めているですが、この時は、まだ普通に煙草を吸っていました。

 

このご時世ですし、ここは病院ですから、当然の事ながら、煙草を吸える場所なんてありません。

が、すぐ近くに、喫煙所がある事は知っています。

近所ですからね。

 

部屋に置いてある入院規則を読むと、当然、勝手に外出するなと書かれています。

でもまぁ、仕方ないですよね。

そろそろ我慢の限界です。

 

ポケットにライターと煙草を忍ばせつつ、何食わぬ顔で病院を抜け出し、近所の喫煙所へ。

喫煙所は大盛況ですね。

しかし、最近は本当に喫煙者は肩身が狭くなりました。

 

少し時間をかけ、ゆっくりと二本の煙草を吸ってから、病室へ戻ります。

 

僕が病室へ戻るのとほぼ同時に、妻も病院へ到着。

ホットコーヒーと枕に、読みかけの本を持って来てくれました。

これまでに分かっている事などを妻に話します。

 

「そっか。じゃ、幼稚園にお迎えに行って、お昼ご飯食べてから、また来るよ」

 

そう言って、妻は一旦、帰宅。

僕は手術着に着替え、持って来てもらった本を読みながら待つ事にします。

 

しばらくすると、再び、看護師さんがやって来ました。

 

「準備が出来たようなので、移動しましょう」

 

看護師さんと共に、オペ室へ向かいます。

 

「たかが生検」なのかも知れませんが、僕にしてみれば、皮膚の縫合を除けば、手術は初めての経験です。

平静を装ってはいますが、緊張している事は、自分でも良く分かります。

 

いよいよ、ですね。

確定診断までの経緯その⑭ 生検前検査でS病院へ

2017年5月1日(月)曇り。

気温が高く、やや蒸し暑いです。

 

今日は生検の前に必要な各種検査を受ける為に、S病院へ向かいます。

 

一応、耳鼻咽喉科の診察室へ行きますが、特に何か診療がある訳でもなく、検査の指示を受けただけです。

 

まず、採血・採尿室へ向かい、採尿と採血を行ないます。

 

採血では、いつもと違う点が一つありました。

「出血時間測定」という、検査みたいなものがあった事です。

これは、どうやら一次止血までの時間を計る検査のようです。

 

血が止まる仕組には、大きく分けて一次止血と二次止血いう、二つの仕組があります。

 

血管壁が破れ、出血した場合、まずは血小板が、破れた血管壁の所に集まって来て固まり、とりあえず出血を止めます。

これが一次止血。

 

ただ、これだけでは構造体として脆く、血管壁の穴を塞いでいる栓(一次止血栓)は剥がれやすい為、凝固因子というものが活性化し、フィブリンという繊維状のタンパク質を形成。

このフィブリンが一次止血栓を補強する事で二次止血栓が完成し、止血が完了します。

これが二次止血ですね。

 

僕が受けた「出血時間測定」では、まず「ランセット」と呼ばれる、針の付いた小さな器具で皮膚に「パチン!」と小さな穴を開け、出血させます。

で、この血を30秒毎に濾紙で吸い取りながら、濾紙に血が付かなくなるまでの時間を測定します(出血時間は濾紙に血が付いた最後の時間)。

 

血液検査の項目の中にも「プロトロンビン時間」と「活性化部部分トロンボプラスチン時間測定」という、血液凝固に関する検査が含まれています。

 

また、梅毒、HIV、肝炎などの感染についても検査されており、生検とは言え「さすが手術の前だなぁ」という感じですね。

 

採血を終えると心電図検査です。

実を言うと、僕は子供の頃(多分、中学生くらい)から、不整脈がある事を自覚しています。

健康診断でも、毎年のように「再検査」とか「要注意」とかになりますね。

 

いつも心拍が不安定とか、そういう事ではありませんし、気が付けば、全く不整脈が出ていない時もあります(むしろ、そういう時が大半)。

当然、特に生活に支障がある訳でもありません。

僕としては、子供の頃から寄り添って来た現象ですし、何と言うか、ごく自然に、僕の人生の中に含まれている事です。

 

が、今回に関しては、不整脈によって「生検出来ません」とか言われるのは嫌だなと思ってます。

既に、ある程度の覚悟もありますし、どうなるにせよ、とにかく、手順を早く進めたいですからね。

 

心電図検査を終え、最後は胸部X線撮影。

こちらも無事に終了です。 

 

検査を終えると、今度は入院の手続きの為「入院受付」という窓口へ。

 

今回の生検は、一泊二日の入院で行ないます。

「入院受付」では、入院に関する様々な説明を受け、各種手続きを行ないます。

 

んで、驚いたのが「室料差額(差額ベッド代)」ですよ。

そもそも「えっ!?」と思う程の金額ですし、加えて、ホテルなんかとは異なり、一泊二日の入院で二日分の請求になるとの事。

 

病室の種類は幾つかあり、料金も様々。

しかし、この金額って・・・ホテルとかで考えれば、割と良い部屋に相当する筈です。

が、病室ですからね・・・想像するに、恐らく簡素な部屋なんでしょうね、きっと。

 

こんな事を考えながら、僕が少し固まっていると、担当の方から

 

「一応、差額ベッド代が発生しない部屋もあるんですが、希望されますか?」

 

と聞かれます。

 

「このタイプの部屋も空いてる、という事ですか?」

 

と尋ねると

 

「正直、当日になってみませんと、空くかどうかは分かりません。

また、このタイプの部屋は、基本的には長期入院の方に対して優先的にご案内差し上げている部屋になります。

従いまして、第一希望として承る事自体は可能ですが、ご希望に添う事は難しいかも知れません」

 

との事。

うん、まぁ、希望したところで無理なんでしょう。

分かります。

 

差額ベッドの問題についても、色々と論考してみたい気持ちはあるんですが・・・どこかで、機会があれば。

 

全ての手続を終え、職場へ。

世間はゴールデンウィークですが、僕には関係ありません。

加えて、今夜も徹夜作業の予定です。

 

僕自身は別に構わないんですが、世間的に見れば、こういうのって、あまり褒められた状況じゃないんでしょうね、きっと。

確定診断までの経緯その⑬ 細胞診の結果を聞きにS病院へ

2017年4月28日(金)晴れ。

先日の細胞診の結果を聞きに、S病院へ向かいます。

 

半分は「はい、がんですね」と言われると思っています。

半分は「ただの炎症でしたよ」とか言われれば良いな、とも思っています。

 

細胞診というのは、あまり精度の高い診断では無いらしい、という事は分かっています。

が、僕の場合、リンパ節がそれなりに大きく腫れている事と、腫れているのが見つかってから、それなりに時間が経っている事から、今回は、ある程度は確度の高い診断が出るのではないか、と思っていました。

 

まずは耳鼻咽喉科へ。

名前を呼ばれ、診察室へ入ります。

 

「えーっとですね、まずは、先日行なった細胞診の結果なんですが、結果としてはですね・・・」

 

・・・・・

 

「5段階の中の、1(異常なし)でした」

 

・・・・・!

 

マジでか!?良かったー!!

 

と、僕が心の中で安堵した瞬間

 

「有り得ません!!!」

 

という医師の大きな声に、少しビックリしました。

・・・・・え?

 

医師は、明らかに不機嫌そうな顔をしながら、こんな検査結果は有り得ないのだという事を説明してくれます。

僕としては、非常に複雑な気分。

 

「とにかく生検をしないといけません。最短だと5月10日ですね。予約を入れておきましょう」

 

医師は、どんどん手続きを進めて行こうとします。

が、予定を確認すると、5月10日は既に予定が入っており、ちょっと都合が悪いです。

 

「あの、先生、その日はちょっと仕事で都合が悪いんで、もう少し後で良いですか?えーっと、例えば・・・」

 

と、別の候補日を選ぼうとしたところ

 

「仕事とか関係ありません。あなたの場合、一刻を争う可能性があります。生検は5月10日です」

 

と言われ、呆然。

 

更に、その直後、一字一句、間違い無く

 

「仕事と命と、どっちが大切ですか?」

 

と言われ、本当に驚きました。

 

まるでドラマみたいな台詞だったのにも驚きましたが、それより問題だと思うのは、この発言が、まだ何の結果も出ていないのにも拘わらず、まるで悪性腫瘍であると決めてかかっているかのように聞こえる事です。

 

これって、がんの告知に等しいんじゃないかなと思うんですが・・・この段階での、この発言って、病院的には大丈夫なんですかね?

 

まぁ、何れにせよ、病院としての見解は良く分かりました。

とりあえず、仕事は何とか調整するしかありません。

 

耳鼻咽喉科の診察室を出て、次は血液内科へ向かいます。

 

まずは主担当医に近況を報告。

体調的には、特に変化はありません。

 

その後、今回の細胞診の結果について、一通りの説明を受けました。

主担当医によれば、僕のように、明らかな腫脹があるケースで「クラスⅠ」という判定が出る事は、やはり非常に稀なのだとか。

 

さらに

 

「まぁ、細胞診っていうのは、ピンポイントに採取した細胞についてしか分かりませんからね。正直、精度は低いんですよ」

 

と前置きした上で

 

「きちんと病理診断しようとしたら、やっぱり生検するしかありません。こういう言い方はなんですが、まぁ、細胞診ってのは、言ってみれば、生検までの手順だと思って下さい」

 

との事。

 

何だかなぁ・・・

医療の「お作法」的な話なのかも知れませんが、結局、僕としては針の刺され損という事ですね。

 

それより問題なのは、時間の無駄だと言う事です。

無意味、とまでは言いませんが、この細胞診により、結局、2週間もロスした事になります。

 

最初から生検するつもりなんであれば、細胞診の段階で、生検の予約まで入れておくべきなんじゃないですかね?

だって「一刻を争う可能性がある」んですよね?

 

まぁ、生検となると、一応、手術ではありますんで、手続き上「とりあえず予約入れといて、必要無ければ後でキャンセル」とかいう訳には行かないのかも知れませんが。

 

釈然としないまま、職場へ。

今日は、これから徹夜作業です。

 

何だか、やり切れないぞ。

左手の痺れ

2017年4月17日(月)曇り。

その日、僕は、以前の記事に何回か登場した、職場近くのクリニックで診察を待っていました。

 

実は、今年の1月末(つまり、首の腫れに気付いたのと同時期)に、激しい寝違えを2回、ほぼ連続で起こしました。

 

1回目は、まぁ普通に寝違えた時の症状、つまり、首が回らないとか、首の角度によって痛みが出るとか、そういう症状のみが出てたんですが、問題は2回目の寝違えの後からです。

 

具体的には、左の肩甲骨の辺りから左手の指先にかけて痺れが発生しており、地味に辛い状況です。

 

普段、起きて生活している分には、ある程度、色々とコントロール出来るんですが、問題は寝る時です。

一番ひどい時には、まともに眠る事すら出来ませんでした。

 

寝る際の姿勢に関して言えば、右肩を真下にして、横向きに寝て、枕を高くした状態以外だと、現在でも眠るのに支障がある状況です。

当然、寝ている間に、身体としては姿勢を変えようとするのですが、その瞬間に痛みで目が覚め、瞬時に前の姿勢を保たざるを得なくなります。

 

勿論この日の段階では、そこまでの状況ではなく、徐々に回復してはいます。

が、その回復のペースは非常に遅く、リンパ節腫脹に関して現在進行中の各種検査時の姿勢によっては割と辛い事もあり、なるべく早期に解消したい所です。

 

とは言え、こういうのって、どこへ行けば良いものか?

少し調べてはみたものの、良く分からず、それ以上調べるのも面倒臭かった事もあり、結局は職場近くのクリニックへ。

 

あれだけ疑問符を付けたクリニックに対して何故?とは自分でも思いますが、一応、そのクリニックには整形外科があり、理学療法も行っていますので、全く的外れという訳でもないでしょうから。

 

しばらく待った所で、名前を呼ばれて診察室へ入ります。

医師に大まかな状況を伝えると

 

「頚椎に問題があるかも知れませんので、レントゲンを撮りましょう」

 

との事。

 

診察室を出て、レントゲン撮影室の前で待っていると、技師の方に名前を呼ばれます。

撮影装置の上に立ち、身体の位置等に指示を受け、撮影。

 

・・・うーん、詳述は避けますが、この部屋って、X線診療室設置基準をクリアしてるのか本当に?

 

撮影後、しばらく待って、再び先ほどの診察室へ。

医師によれば

 

「特に頚椎に問題は無さそうですね」

 

との事。

では、一体何が原因で、こんなに痺れが長引いているのかと聞くと

 

「うーん、分かりませんね」

 

・・・それだけ?

では、確定では無くても、どういう可能性があるのか、またその場合、僕としては症状の改善の為に何が出来るのかを尋ねると

 

「うーん、色々あって、一概には言えませんね・・・とりあえず、神経障害に効く薬がありますんで、そちらを2週間分、出しておきます。まずは、それを飲んで様子を見て下さい」

 

と言われ、メチコバールを処方されました。

 

まぁ、正直、あまり期待はしていませんでしたが、もうちょっと何とかならないものか・・・

 

こういうケースって、整形外科以外だったら、どういう所に行けば良いんでしょう?

神経内科?それともカイロプラクティックとか鍼灸院とかなのかな。

確定診断までの経緯その⑫ S病院耳鼻咽喉科にて細胞診

2017年4月14日(金)晴れ。

暖かくて良い天気。

 

今日はS病院の耳鼻咽喉科で細胞診を受ける日です。

 

細胞診を受けるのも初めてなので、一応、リンパ節の細胞診が、どういう物なのかは事前に調べました。

 

「穿刺吸引器」という、大き目の注射器にハンドルが付いた様な器具を使って、リンパ節に針を刺し、そこから細胞を吸引するようです。

 

・・・あまり気はすすみませんが、仕方がありません。

 

耳鼻咽喉科は、血液内科とは違うフロアにあります。

気のせいか、このフロアは空いているような気がしますね。

受付を済ませ、しばらく待ってたところで名前を呼ばれ、診察室へ。

耳鼻咽喉科の先生も若い方です。

 

「血液内科の先生から伺ってます。まずは喉の内側の状態を確認させて下さい」

 

小さな内視鏡を使い、喉の内部の状態を確認するとの事で、まずは鼻の中に麻酔剤を噴霧されます。

・・・これが、何とも言えない不愉快さ。

 

で、麻酔剤が効いてるのかどうかも分からない状態で、すぐに鼻の中に内視鏡を突っ込まれます。

・・・これも、実に不愉快です。

 

内視鏡検査自体はすぐに終了しましたし、痛かったとか、そういうのは無いんですが、とにかく不愉快だったとしか言えません。

 

内視鏡検査が終わると

 

「うん、喉の内側に、特に問題はありませんね。では、細胞診を行いましょう。リンパ節に注射針を刺して、細胞を採取しますね」

 

え?もう?今から?すぐ?

全く勝手は分からないんですが、そんなすぐにやっちゃう物なんですか?

だって、粘膜をこすり取るとかじゃなくて、リンパ節に穿刺して採取するんですよね?

 

「あ、今からですか?すぐに出来るものなんですか?」

 

僕が少々、動揺しながら尋ねると

 

「はい、大丈夫ですよ。看護師さん、吸引器お願いします」

 

看護師さんが、ネットで見たのと大体同じ様な器具を持ってきます。

 

「はい、では行きますねー。少し違和感があるかも知れません。何かあったら、すぐに仰って下さい」

 

え?ちょっと、麻酔しないの!?

 

麻酔無しで、リンパ節に針を入れられ、ハンドルをスコスコされます。

当たり前ですが、スコスコされる毎に、首の中から何かを引っ張り出されているのが分かります。

 

うぅ・・・そんな痛いって訳じゃないけど、なんか嫌な感じだ。

手に、じわりと汗が滲みます。

 

ただ、細胞の採取自体は、結果としては難なく終了。

まぁ、確かに麻酔は必要無いかも知れません。

が、細胞診を初めて受ける身としては、正直ちょっとヒヤヒヤしました。

 

こういう、医師とか医療機関にとっては当たり前でも、患者としては不安要素たっぷりみたいな事って、割と多いんじゃないかなと思います。

少なくとも、僕の経験した事については、どこかで、まとめてみるつもりです。

 

医師によれば

 

「採取した細胞を検査に回して、悪性度を5段階で判断します」

 

との事。

その時は、具体的に、5段階の内容までは聞きませんでした。

が、その後、調べてみると、代表的な細胞診の基準の一つに「パパニコロウ分類」という物があり、その場合は、以下のような基準となるようです。

 

パパニコロウ分類】

・クラスⅠ:異型細胞(※)を認めない

・クラスⅡ:異型細胞を認めるが良性

・クラスⅢ:悪性を疑うが断定できない(↓以下小分類)

    Ⅲa:悪性を少し疑う(軽度〜中等度異形成を想定する/5%程度に癌が検出)

    Ⅲb:悪性をかなり疑う(高度異形成を想定する)/50%程度に癌が検出)

・クラスⅣ:極めて強く悪性を疑う

・クラスⅤ:悪性

※:形態が正常ではない細胞

 

さて、どうなる事やら。

 

細胞診の結果が出るまで2週間ほどかかるとの事で、次回診療は4月28日です。

少し時間が空きますね。

 

確定診断までの経緯その⑪ S病院血液内科初診

2017年4月12日(水)晴れ。

気温20度を超える陽気の中、S病院の血液内科へ向かいます。

自宅から歩いてすぐなので、楽ですね。

 

S病院の診察券は既に持っていた事、系列のクリニックからの紹介である事などから、初診としては比較的スムーズに受付が終わります。

 

血液内科の待合で暫く待ち、名前を呼ばれて診察室へ。

若い男性の先生です。

見た目では30歳そこそこ、といった感じでしょうか。

 

以後、この医師の事は、S病院における「主担当医」とします。

 

まずは、これまでの経緯を色々と説明します。

主担当医は、時折、僕に質問をしながら、パソコンに向かって、割と細かくメモをして行きます。

 

腕には、比較的新しいスイスのメーカーの、特徴的な時計をしていますね。

腕時計、好きなのかなぁ。

僕は腕時計には全く興味が無く、一つも持ってはいませんが。

 

一連の問診の後

 

「今日は、この後、血液検査とCTの検査を受けて下さい。それから、耳鼻科の方で細胞診を受けて頂きたいので、予約を入れましょう」

 

と言われ、その場で2日後の14日に決定。

何だか、これまでのスピード感とは異なりますね、良い意味で。

 

その後、J病院から貰った、MRIの画像の入ったディスクを持ってきた事を告げます。

主担当医は

 

「あぁ、そうですか。では、一応お預かりします。会計時に返却しますので、お持ち帰り下さい」

 

と言い、受け取りはしました。

が、やはり、と言うか、非常に扱いが雑な感じです。

「もしかしたら見ないんじゃないか」という疑念まで湧いて来ます。

 

これは後に判明した事なんですが、MRIの画像というのは、例えばjpeg等の汎用形式で保存されている訳ではなく、わざわざ特定のビューワーソフトをパソコンにインストールしなければ見る事が出来ないようです。

仮に、このソフトが院内のPCにインストールされていないのであれば、過去の他院の検査結果など、ほぼ見ないでしょうね。

最新の状態の同じ検査を自院ですれば良いだけですから。

 

事情を考慮すれば、他院からの情報に対して関心が薄いのも当然かも知れません。

しかし、その情報に全く価値が無いかと言えば、決してそうではないでしょうし、診療情報の有効活用とか、医療費の削減っていう観点からしても、こういう体制って、何とか改善出来ないもんでしょうかね。

 

さて、まずは採血室へ向かいます。

 

しかし、さすがにS病院の採血室は色々と立派ですね。

急性期病院としては当然の規模なのかも知れませんが。

 

受付を済ませると、まずは採尿。

その後、少し待っていると、番号を呼ばれて採血です。

 

担当して頂いた看護師さんから名前の提示を受けつつ、僕の名前と生年月日を告げますが、その途中、看護師さんが持って来たトレーの中に入っている採血管が目に入り、数の多さにビックリ。

2桁はありまますね。

看護師の方も「多いですね」と苦笑いされてました。

 

尚、後に明細を確認すると、検査項目は105項目に亘ります。

まぁ、専門の診療科な訳ですから、当然と言えば当然でしょうが。

 

採血を終え、次はCTへ。

 

受付を済ませると、問診表等に記入を行います。

記入を終えると、検査着に着替えるように指示され、更衣室へ。

J病院とは異なり、S病院の更衣室は、まぁ常識的な感じですね。

 

着替えを終え、検査室の前で待っていると、番号で呼ばれます。

以前「確定診断までの経緯その⑤」にも書きましたが、CT検査自体は、S病院のクリニックで一度経験済です。 

 

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ここで、少し疑問があります。

S病院のクリニックでCT検査を受けた際は、以下の流れでした。

 

1.会社の健康診断で肺に影を指摘される。

2.健康組合の診療所で、急性期病院での診察を指示され、S病院へ紹介される。

3.S病院での診療時に、S病院のクリニックでCT検査を受けるように指示される。

 

今回は、S病院での診察から、そのままS病院でのCT検査です。

S病院のクリニックで受けるCT検査と、S病院で受けるCT検査の何が違うのか?

 

思い返してみると、肺の件では、医師が

 

「S病院のクリニックの方が検査が早く出来るから」

 

と言っていた様に記憶しています。

 

今回のケースでは

 

・系列であるS病院のクリニックで、既に各種検査が行われている事。

S病院のクリニックから予約が入ったのが、8日前である事。

 

を考慮すると、疑われている病気に対する信憑性の高さと、多少ではあるものの、時間的余裕があった事が加わり、S病院での初診日に、そのままCT検査を受けられるように配慮して頂いたのかも知れません。

 

ちなみに、前回と今回で少し違うのは、造影剤の有無ですね。

前回は造影剤は使いませんでしたが、今回は「非イオン性ヨード造影剤」ってやつを使いました。

 

また、当たり前ですが、今回の造影剤は、J病院のMRI検査の時に使った物とは違う種類の造影剤ですね。

このタイプの造影剤は、あまり身体が熱くなるような感じは無いようで、実際、僕も何も感じませんでした。

 

看護師さんに造影剤を注射され、腕を万歳した状態で機械に横になると、撮影スタートです。

時折、機械からの

 

「息を吸って下さい」→「止めて下さい」→「楽にして下さい」

 

という音声指示が何回かはあるものの、MRIとは違い、ほんの数分で終了します。

それぞれ特徴はありますが、検査を受ける側としては、CTの方が圧倒的に楽ですね。

 

検査終了後、着替えを済ませ、会計へ。

本日のお会計は18,650円也。

 

妻の出産時のように、健康保険が適用されないケースを除けば、これまで生きて来て、病院で1万円を超える支払いをした事はありませんでした。

が、これも、まぁ想定内です。

 

事態は深刻である可能性がある、という事ですね。