無知の知菴 〜悪性リンパ腫罹患者の日常〜

結節硬化型古典的ホジキンリンパ腫と診断され、経験した事、学んだ事、思う事。

西武ライオンズ・森慎二コーチ急逝の知らせに思う

2017年6月29日(木)晴れ。

久し振りに良い天気です。

 

この日、西武ライオンズ森慎二投手コーチ(42)が急逝したという報道がありました。

 

当初は「多臓器不全」としか報道されておらず、詳細は分かりませんでしたが、後に、森コーチの父親の話として「毒性の強い溶連菌の感染による敗血症」が原因であった事が報道されました。

 

「溶連菌」とは、一般的には「A群β溶血性レンサ球菌」という、ありふれた常在菌の事を指します。

この菌に感染すると、咽頭炎扁桃腺炎、また「とびひ伝染性膿痂疹)」などを引き起こします。

 

これらの感染症は、合併症に注意する必要はあるものの、抗生剤を服用する事で、比較的すぐに良くなります。

 

しかしながら、稀に「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」という、極めて致死率の高い感染症を引き起こす事があります。

そして、劇症化する原因や理由ついては、現在のところ、明らかになっていません。

 

この報道に触れた際、AOI Pro.の藤原社長(当時)の事を思い出しました。

 

少し話が飛びますが、僕は学生の頃からビリヤードが好きで、特に24〜26歳の頃、特にハマっていました。

当時、プロやセミプロの方々と交流があったのですが、その中に、Mさんという方がいました。

 

Mさんは当時「プロより上手い」と評された「伝説のアマチュア」でした。

色々と理由があり、あえてプロ資格を取っていなかったのですが、紆余曲折の末、後にプロになり、現在は自分のショップも持たれています。

 

さて、5年ほど前、会社を今のオフィスに移転したのですが、その際、僕はオフィスの中にビリヤード台を置いてみたいと考えていました。

理由については、色々とあるのですが、今回は割愛します。

 

で、ウチの社員の中に、昔、ビリヤード場でアルバイトをしていた女の子がいます。

この子は、後にプロビリヤード選手と結婚する事になるのですが、その旦那さん(当時は彼氏)が「ビリヤード台を置くならMさんに頼むと良いですよ」とアドバイスをしてくれました。

 

僕はMさんとは特に親しかった訳ではありませんが、記憶には残っていましたので、早速、紹介して貰いました。

Mさんは、僕の事はあまり覚えていない様子でしたが、当時の話をすると、非常に懐かしがってくれて、すぐに打ち解けました。

 

ビリヤード台についても、とても良い条件で設置して頂き、それ以来、親しくさせて頂いてます。

 

3年ほど前の事ですが、Mさんから、藤原さんを紹介して頂きました。

 

Mさんとしては、僕と藤原さんを引き合わせると、お互いにとってメリットがある良い関係が作れる筈と思ったのだそうです。

僕としても、藤原さんとのお話は非常に興味深く、良い関係が作れるのではないかと思っていました。

 

そして、そのわずか半年後、突然、藤原さんは倒れられ、そのまま、お亡くなりになりました。

まだ49歳という若さでした。

 

あまりにも突然の事でしたし、また、藤原さんは非常に健康状態が良かった為、にわかには信じられませんでした。

 「感染性心内膜炎による脳出血」が死因とされていますが、正直、疾患の素地も無く、何の兆候も無く、かなり急性であったようです。

 

この二人の免疫の状態がどうだったのかは分かりません。

「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」や「感染性心内膜炎」は、特に免疫不全などではなくても発症するともされています。

 

ただ、常識的に考えれば、免疫の状態が健全であれば、発症のリスクは下がる筈です。個人的には、やはり何らかの理由で免疫力が低下していたのではないかと思います。

 

こういう話に触れると、感染症の怖さを改めて認識しますし、特に僕のように免疫力が下がっている状態の場合、尚更注意しなければと思います。

 

前々回の記事「幼稚園を休園する事(と周囲の反応)について」で触れた幼稚園の園長や、看護師資格を持つ人なんかは、これらの件についてどう思うんでしょうか。

一度、話を聞いてみたいもんです。

口内炎は地味に辛い

6月27日(火)曇り。

ここ何日か、ずっと天気が悪いです。

 

この日、朝起きると、口の中に強烈な痛みを感じました。

抗がん剤の副作用による口内炎ですね。

 

何日か前から「口の中がちょっと痛いな」とは思ってたんですが、今日は痛みが強く、食事に支障があるレベルです。

口の中を鏡で見てみると、舌の右下の部分にハッキリと白い潰瘍が見えます。

 

僕は、これまで、あまり口内炎になった記憶がありません。

なので、確かな事は言えないんですが、今回の「口の中の痛み」は、普通の口内炎とはちょっと違う感じがします。

 

何と言えば良いのか、普通の口内炎

「粘膜の表面に出来た傷が悪化したもの」という感じですが、今回の症状は

「粘膜の深い部分から強い炎症を起こしたもの」と言えば良いんでしょうか。

 

病院からは「抗がん剤の副作用が出た場合は、すぐに電話をするように」と言われ、連絡先を貰っていたので、とりあえず電話をします。

 

S病院は、電話をかけても超絶つながりにくく、異常に待たされるイメージだったのですが、教えて貰った電話番号にかけると、すぐに交換手のような方につながり、医師につないで貰えます。

これは意外でした。

 

主担当医に事情を話すと「では、診察しますので、すぐに来て下さい」と言われます。

 

「口腔外科の方が良いですかね?」と聞いたところ

「うーん、他に伺いたい事もあるんで、血液内科にいらして下さい」との事。

 

受付を済ませ、診察室に入ると、まずは口内炎の状態を診てもらいます。

 

「あー、なるほど、ここですか。結構、炎症がありますね・・・うがい薬と軟膏を出しておきますので、それで様子を診て下さい」

 

その後、主担当医から 

・吐き気は無いか

・食欲はあるか

・発熱はしていないか

・下痢や便秘は無いか

・排尿時に違和感は無いか

・息苦しさは無いか

等、口内炎以外の抗がん剤の副作用について聞かれます。

 

この時点では、これらの症状は出ていないのですが、ほんの少し、手足に痺れがある事を伝えます。

 

以前の記事「左手の痺れ」で書きましたが、元々、左手には痺れがあったので、これについては、抗がん剤がどの程度影響しているのか分かりません。

 

bonyoh.hatenablog.com

 

が、現在は右手にも、また両足にも痺れが出ていますので、恐らく抗がん剤の影響ではないかと思います。

 

主担当医によれば、末梢神経障害は、時間をかけて徐々に改善する事がほとんどらしいのですが、中には一生、症状が残る人もいるとの事。

まぁ、なるようにしかならないと思うので、仕方ありません。

 

その後、目の粘膜や心音、呼吸音等を一通りチェックし、診察は終了。

 

「では、この後、採血室に行って頂き、採血してからお帰り下さい」

 

うーん・・・3日後に2回目の抗がん剤治療があるんですが、このタイミングで血液検査をする必要ってあるんですかね?

 

採血を終え、会計を済ませてから、調剤薬局へ。

処方されたのは「デキサルチン口腔用軟膏」と「アズノールうがい液」でした。

どちらも抗炎症剤です。

 

尚「デキサルチン」の一般名は「デキサメタゾン」。

つまり、今回の抗がん剤治療に対する制吐剤として処方されている「デカドロン」と同じものですね。

この薬は、本当に用途が広くて関心します。

 

抗がん剤の副作用で口内炎になったのは、この時が初めてでした。

が、この後、抗がん剤治療の度に、口内炎に悩まされる事になります。

 

具体的には、抗がん剤治療の一週間後くらいから発生し、二週間後、つまり、次の抗がん剤治療のタイミングくらいで治癒するというパターンを繰り返しました。

 

僕の場合、口内炎が出来ると、必ず、食事に影響が出てしまう程度にまで悪化しましたので、これは地味に辛かったですね。

幼稚園を休園する事(と周囲の反応)について

2017年6月26日(月)曇り。

 

仕事が一段落した午後2時頃、昼食を食べに外出していた際、妻から携帯に電話が掛かって来ました。

 

「ごめんね、とと。あまりにも悔しくて・・・」

 

と、泣きながら話します。

一体どうしたのかと聞くと、おおよそ下記のような概要でした。

 

実は、この週末(25〜26日にかけて)妻と相談し、しばらくの間、娘には幼稚園を休園してもらおうという事になりました。

 

当たり前の事ですが、幼稚園に行くと、娘は時々、病気を貰って来ます。

そういう経験もしながら、子供は自らの免疫力を高めて行く訳で、ある意味、必要な事だと言っても過言ではありません。

 

が、今は事情が事情です。

 

抗がん剤治療に伴う骨髄抑制により、僕は免疫力が非常に下がった状態になります(と言うか、既にそうなっています)。

このような状態である時、娘を経由して菌やウイルス等が家に持ち込まれると、僕の日和見感染リスクは格段に上がってしまいます。

 

娘の幼稚園休園は、そのリスクを少しでも下げる為の、我が家としての決断です。

 

この日、妻は、幼稚園に対し、9月末までの休園を申し入れました。

現在の治療計画等を鑑みて、そのくらいになれば、僕の免疫力は問題無いレベルに回復しているというのではないか、という予測を立てた上での申請です。

 

妻はまず、担任の先生に事情を話しました。

担任と副担任の先生には事情を理解して頂き、手続きを進める事になりました。

 

手続きの一環として、園長先生に対して事情説明を行なったようなんですが、その際、以下のようなやり取りとなったらしいです。

 

尚、以下は妻からの伝聞でしかありませんので、正確性を欠くものである事は否めませんが、可能な限り客観的な描写を心がけています。

 

園長「事情は分かりましたが、休園というのは、ちょっと・・・」

妻 「どういう事ですか?」

園長「だって、お父さんは会社に行かれるんですよね?」

妻 「はい」

園長「つまり、お父さん自身が、色々な場所で感染するリスクがある訳ですよね?」

妻 「そうですね」

園長「お母さんも、お買い物なんかに出掛けられるんですよね?」

妻 「はい」

園長「つまり、お母さんも色々な場所で感染するリスクがある訳ですよね?

妻 「そうですね」

園長「だったら、娘さんが休園したって、感染リスクに大差ないんじゃないですか?」

妻 「大人は注意深く行動すれば感染リスクを下げる事が出来ます。

   でも子どもの場合、そういうリスクコントロールは難しいと思います。

   実際、入園して2ヶ月の間で、手足口病と胃腸風邪をもらって来ました。

   これらを避けるだけでも日和見感染のリクスは相当に下がると思いますが」

園長「・・・そうですかねぇ。大体、本当に幼稚園で感染したんですかねぇ?」

妻 「同級生の他の子も一緒に罹患してますので、おそらく幼稚園での感染です」

園長「・・・でもねぇ、本当に休園までする必要があるんですかねぇ?」

妻 「あの、休園してはいけないんですか?」

園長「いや、もちろんダメと言ってる訳じゃないんですよ」

妻 「では何が問題なんですか?」

園長「いや、休園だと月謝も止めないといけませんし、だったら休園よりも・・・」

妻 「・・・・・・・・・・・」

 

まさかの「カネ」?

その後も、妻としては、確認の為に色々と突っ込んだらしいんですが、要するに「カネ」の話だとしか思えない、と。

 

「そんなんやったらカネ払うたるわ!(妻は関西人です)」

 

と、喉まで出かかったらしいんですが、何とか耐えたそうです。

 

とにかく、集団生活の責任者である園長の、感染に対する無神経さに呆れたとの事。

また、僕の命に対する危険性が、月謝以下の問題であるとされた事が、あまりにも屈辱的だったという事でした。

 

また、同日、ある知人の方から

 

「うーん、でも、確かに休園ってのは、ちょっと大げさかもね。実際の所、そこまで神経質になる必要は無いと思うし」

 

と言われたらしいです。

驚くべき事に、この方は看護師資格を持っている方です。

この発言も、妻にとっては相当ショックであった様子。

 

少し話が飛びますが、僕が医療関係の仕事に関わっている事は、このブログでも何度か触れていると思います。

その中の一つに「日本環境感染学会の総会・学術集会」があります。

 

日本環境感染学会では、毎年1回、医師や看護師等の医療従事者向けに、各種展示やセミナー等を開催しています。

学会で取り扱うテーマには様々なものがあるんですが、その中でも最大の関心事は、毎年ダントツで「手指衛生」。

 

もう少し詳しく言うと「どうすれば手指衛生の遵守率が上げられるか」なんです。

毎年ですよ?

 

つまり、医療従事者の感染に対する意識なんて、その程度だと言う事です。

病院(特に大きな病院)に行くと「医療従事者に『手指衛生はしましたか』?と聞いて下さいね」という内容のポスターが、よく貼ってありますよね。

あれも証拠の一つです。

 

まぁ、仕事だとね・・・正直、面倒臭いでしょうし、手も荒れるでしょうから、理解出来ない事はないんですけどね。

 

ただ、だからといって、こちらとしては、それを容認する訳には行きません。

 

「それ以上、何かゴチャゴチャ言って来るようだったら、俺が直接話すよ。嫌な思いして大変だったね。ありがとう」

 

そう言って、電話を切りました。

 

上記のような連中には、まともに関わるだけ時間と労力の無駄です。

こちらとしては、自らの意思と立場を毅然と表明するのみです。

また、そこで「空気を読む」必要もありません。

 

何せ、命に関わる問題ですからね。

抗がん剤による脱毛に備えて美容院へ

2017年6月24日(土)晴れ。

今日は、美容院へ髪を切りに行きます。

 

ABVD療法に使用される抗がん剤には、副作用として脱毛を引き起こす物が含まれています。

具体的には「ドキソルビシン」と「ブレオマイシン」の2つで、脱毛を引き起こす程度としては、それぞれ「高度」と「中度」とされています。

 

実際の脱毛の程度や経過は個人差が大きいようですが、脱毛から毛髪再生までの経過は、概ね以下のようなものだとされています。

 

・脱毛開始:抗がん剤治療開始後1〜3週間後

・脱毛停止:抗がん剤治療終了後3〜6週間後

・発毛開始:抗がん剤治療終了後1〜2ヶ月後

 

抗がん剤治療を開始したのが6月15日ですから、この日で9日目。

僕の場合は、まだ脱毛は始まっていません。

 

ところで、いつからか正確には覚えていませんが、僕は基本的な髪型を10年以上変えていません。

まず、髪質がくせ毛なので、散髪時には必ずストレートパーマをかけています。

その上で、ショートに刈り込み、散髪時〜4週間位はワックスで髪をボサボサに立てています。

そこから2〜3週間位は、少し伸びて来るのと、癖が戻って来て髪を立てにくくなるので、ややオールバック気味にして、再び散髪、というサイクルです。

 

さて、美容院では、いつもお願いしている美容師さんに

「病気の治療に使用している薬の影響で、これから髪の毛が抜ける」

という事と、脱毛対策として以下の方針を伝えます。

 

・脱毛により、かなり毛量が落ちると予想している。

・脱毛の仕方としては、恐らく、ほぼ均等に抜けると予想している。

・よって、いつもは、かなり梳いてもらっているが、基本的に梳かないで欲しい。

・また、今回はストレートパーマをかけず、くせ毛のままにしておく。

・上記2つの施策により、恐らく毛量減をカバー出来るのではないかと考えている。

・ストレートパーマをかけない為、最初からオールバック気味に整える事を前提としたカットしてにして欲しい。

 

これらの方針を聞き、美容師さんは工夫をしながらカットしてくれました。

 

「ほぼ梳いてませんし、ストレートパーマもかけてませんので、最初は少し扱いづらいとは思います。ただ、もし均等に脱毛するのであれば、しばらくの間は、これで対応出来る筈です」

 

さて、果たして目論見通り、上手く行くでしょうか。

 

尚、いつもはストレートパーマをかけていますので、大体2時間半〜3時間位かかるんですが、今回は1時間未満で終了。

 

何せ10年以上振りなので

「ストレートパーマをかけなければ、こんなに楽に終わるのか」

と、軽いカルチャーショックに見舞われます。

 

もしこれで、それなりに扱いやすいようであれば、今後はストレートパーマをかけないようにするかも知れません。

 

カット終了後、ビックカメラへ。

目的は、ヒゲトリマーの購入です。

 

僕は普段、リアルな(本当に全く手入れしない)無精髭を生やしており、伸びて不愉快になって来ると、ウェットシェーバーで綺麗さっぱり剃り落としています。

 

しかし、病院で貰った、抗がん剤治療のハンドブックによれば、ウェットシェーバーは使用せず、電気シェーバーを使うように、との事。

これは、骨髄抑制(白血球減少)による感染症対策の一つとして書かれています。

 

が、僕は、この電気シェーバーと言うヤツが昔から大嫌いなんです。

理由を事細かく追求した事はありませんが、とにかく不愉快で、文字通り「肌に合わない」としか言えません。

 

幸いな事に、昨今は仕事上でも髭を生やしている事が問題視されないケースが増えて来ましたし、僕自身の環境も、髭に全く問題はありません。

よって、ウェットシェーバーが使えないのであれば、わざわざ大嫌い(且つ高価)な電気シェーバーなど買わずとも、ヒゲトリマーで十分な訳です。

 

で、自分なりに色々と調べた上で、今回はパナソニックの「ER2403PP」という機種を購入しました。

とは言え、まだそれほど髭が伸びている訳ではありませんので、使うのは、しばらく後になりそうです。

 

従って、使用感等については、また後日、機会があれば書いてみたいと思います。

小林麻央さん逝去の報道で改めて思う事

2017年6月23日(金)晴れ。

湿度も低く、気持ちの良い天気です。

 

この日、小林麻央さん逝去の報道がありました。

 

僕は、小林麻央さんや、彼女の家族・親族の方々と面識があった訳でもありませんが、何と言うべきか、純粋に、お悔やみ申し上げます。

 

以前の記事「がん家系?」にも書きましたが、僕は父をがんで亡くした事を契機に、がんを「将来、自分の身に必ず起こる事」として捉えるようになりました。

ですから、がんに纏わる様々な情報には常にアンテナを張っている方だと思います。

 

bonyoh.hatenablog.com

 

その中でも、小林麻央さんの病気に関する一連の報道(や、職業柄得られた、公表されていない情報)には、考えさせられるものがあります。

と言うのも、小林麻央さんの件に関しては、ある意味「がん治療に纏わる諸問題」が凝縮されていると思うからです。

 

「がん治療に纏わる諸問題」には、文字通り、幾つもの問題があるのですが、その中でも特に大きいのは

 

「がんになった事を、いつ、誰に、どのように伝えるか」

 

だと思います。

 

この選択により、ある意味、本人の意思とは無関係に、その後の身辺状況が大きく変化して行く事になります。

それは往々にして、少なからず治療にも影響を与えてしまいますし、結果として、予後にも影響を及ぼすのではないかと推察されます。

 

小林麻央さんの件に関しては、100%の信頼がおける情報を得ていた訳ではありませんので、滅多な事は言えません。

 

が、彼女の社会的立場を考慮すれば

「がんになった事を、いつ、誰に、どのように伝えるか」

という問題に関しては、かなり難しい判断を迫られたのではないかと思います。

 

小林麻央さんの闘病の経緯等に関しては、様々な情報が公表されています。

そして、これに対し、色々な論調や言説が存在します。

 

それらに対して、僕は、このブログ上で、とやかく言うつもりはありません。

ただ、一つだけ言えるとすれば

 

「彼女の選択は理解出来る」

 

という事です。

 

繰り返しになりますが、色々な意見はあると思います。

しかしながら、結局のところ

 

「がんになった人(や近親者)にしか分からない事が沢山ある」

 

のです。

 

僕がよく言う言葉を使わせて頂くと

 

「どれだけ説明を尽くしたとしても、コーラを飲んだ事の無い人間にコーラの味を理解させる事は出来ない」

 

という事ですね。

 

勿論、僕も、彼女と同じ病気になった訳ではありません。

が、治療や生活において、似通った事、少なくとも「同種」と言って差し支えの無い経験はしています。

 

その上で「彼女の選択は理解出来る」と思う訳です。

 

ここで決して勘違いしてはならないのは、その選択が

 

「正しいかどうか」

 

また

 

「何を以て“正しい”とするか」

 

については、別の問題だという事です。

 

小林麻央さんの件に関しては、この点をキチンとわきまえていない論調や言説が多過ぎるように思います。

 

尚、これらの点も踏まえつつ、この記事を書いている時点(2017年8月)で、僕は自分が悪性リンパ腫になった事については「ほぼ非公開」です。

知っているのは、基本的に、会社の専務と、保険会社の人だけです。

 

やみくもに情報を絞ったり隠したりする事を是としている訳ではありませんが、この問題は、本当に慎重に判断した方が良いと思います。 

 

うーん・・・今回の記事は、何と言うか、奥歯に物が挟まったような言い方しか出来ませんでした。

禁煙の影響か抗がん剤の影響か

2017年6月19日(月)晴れ。

気温が30℃を超え、暑いです。

 

抗がん剤治療開始後、初出社です。

骨髄抑制によって免疫力の低下が始まっている筈なので、これからはマスクの着用が欠かせません。

 

実は、僕はマスクを着けるが大嫌いで、これまで、余程の事が無い限り、マスクをした事がありません。

それだけに、みんなから「珍しいですね」とか「どうしたんですか?」と聞かれます。

 

会社としては、僕が悪性リンパ腫になった事については、当面の所、みんなには伏せておく方針です。

いつ、どういう形で明かしますかね・・・。

 

さて、この日は禁煙6日目です。

以前の記事「禁煙の方法について自分なりに思う事」でも書いた通り、既に72時間は経過していますので、ここからしばらくは記憶の中のタバコとの闘いですね。

 

bonyoh.hatenablog.com

 

僕の会社にはクリーンエア・スカンジナビア社の喫煙ブースが設置してあります。

これは非常に優れ物で、排煙ダクト等の工事が不要であるにもかかわらず、正しく使用すればタバコの煙がブース外に漏れず、フィルターで完全浄化されるという製品です。

 

なので、オフィスの中にブースを設置しても、室内の空気を汚す事無く、喫煙者と非喫煙者が同居出来る訳です。

メンテナンスフィーは決して安いとは言えませんが、業務効率を考えれば、費用対効果は大きいと思います。 

 

ブースでは、喫煙者が談笑しながらタバコを吸っています。

あの「場」に参加出来なくなったのは、本当に残念でなりません。

 

近年、タバコって嫌われてますよね。

まぁ、それに対して、この記事でどういう言うつもりはありません。

 

が、タバコは、喫煙という「場」における情報の収集及び伝播(場合によっては指示を含む)という観点で、非常に優秀な機能を持つ製品(及び文化)だと思います。

 

これに対し、生粋の非喫煙者からは

 

「そもそも我々はタバコを吸った事が無いが、それでコミュニケーションや情報の不足を感じた事は無い。故に、タバコがコミュニケーションツールとして有用であるという言説は喫煙者の戯言である」

 

的な意見が聞かれます。

 

はっきり言いますが、それは、喫煙者のコミュニティに属した事の無い人間の戯言なんですよ。

論証の根拠となるべき比較データを欠いた上での言説ですので「妄言」と言っても良いかも知れません。

 

僕は両方の立場を経験している訳ですが、公平に見て、少なくとも「情報」という観点では、喫煙の「場」には非常に大きな価値が存在する思います。

 

ところで、この時点で、僕が身体に感じる症状の中に、以下のようなものがあります。

 

睡眠障害

長い時間、連続して眠る事が出来なくなりました。

連続して眠れるのは最長でも3時間程度です。

また、これに伴い、日中に眠気に襲われる事も多くなりました。

 

末梢神経障害】

主に手足、それから口の中に若干の痺れを感じます。

その一方、皮膚感覚は鋭敏になった感じもあり、この2つが共存する理由が良く分かりません。

 

浮遊感】

何と言うか「フワフワして地に足が着かない」ような感覚があります。

「身体の周りに見えない膜がある」ような感じと言っても良いかも知れません。

 

これらは、抗がん剤の影響か、禁煙によるも影響かが分かりにくいです。

抗がん剤の副作用や禁煙の離脱症状について、身を以て体験した事を書こうと思っていたんですが、この2つを同時にスタートしたのは失敗でした。

 

ちなみに、禁煙について、もしかしたら役に立つかもしれない情報を一つ。

 

僕は2017年6月14日に入院した時から、食べ物や飲み物によって、禁煙の離脱症状等(記憶による喫煙欲を含む)が緩和出来ないかを模索し、実際に色々な物をテストして来ました。

 

個人的な結論としては、タバコを吸いたくなったら

 

・アーモンドチョコレートを食べ

・一緒に冷たい水を飲み

・深呼吸をする

 

というのが、体験上、最も効果が高いと思います。

 

この理由については、機会があれば、別の記事で書いてみたいと思います。

 

ちなみに、一般的に良く言われている「ガム」「飴」「ミントタブレット」等は、個人的には、むしろ逆効果であるように感じました。

 

尚、アーモンドチョコレートについては色々な種類の物を試しましたが、2017年6月時点では、明治から出ている「アーモンドチョコレートカカオ70%」がおススメですね。

 

退院時のトラブル(あるいは医師という種族について)

2017年6月16日(金)晴れ。

今日は暑いです。

 

今日、退院のつもりでいたので、朝食後、荷物を整理します。

採血に来てくれた看護師さんに、退院の手続について尋ねると

 

「えっと・・・今日まで入院で、明日、退院の予定になってますね・・・」

 

?これは話が違います。

 

「あの、主担当医の先生からは、今回の入院は2泊3日の予定と言われてますし、3泊4日へ変更する旨の連絡も受けた記憶がありません。どういう事なのか確認したいので、ちょっと先生を呼んで来てもらえますか?」

 

と看護師さんにお願いします。

 

しばらくすると、ラインを取った研修医が来ます。

 

「・・・あの、主担当医の先生は?」

 

「あ、ちょっと今、こちらに来る事が出来ませんので、僕が代わりに・・・」

 

「・・・・・・・・・・・仕方ないですね。じゃあ、まず・・・」

 

この段階で、僕はかなり頭に来ていました。

少なくとも入院日数を僕に何の断りも無く変更した事は病院側に否がある訳ですから、百歩譲って本人が来られないのだとしても、上司が来るべきなんじゃないですかね?

 

その事も含め、僕の主張と、何故今日も入院していないといけないのかについて、矢継ぎ早に研修医に質問します。

 

研修医は

 

「・・・あの、ちょっとお待ち頂いて宜しいですか・・・」

 

と言って病室を出て行ったと思ったら、今度は別の医師を連れて来ました。

初めて会う医師でしたが、こういう状況であるにも関わらず、名乗りもしません。

 

また、研修医は僕の言った内容をほぼ伝えておらず、改めて同じ内容を話すはめに。

その事で、僕のイライラはピークに達します。

 

が、仕方ないので、努めて冷静に、研修医にした話を再度繰り返します。

その結果、新しく来た医師は、結論として

 

「それは医師が決めた事ですから、従って頂かないと」

 

の一点張り。

 

「だから、そこに必然性があれば従うと言ってるんです。医師が決めようが猿が決めようが構いませんが、必然性があれば従うし、無ければ従うつもりはありません。その必然性を説明してくれと、さっきから何回もお願いしてるのに、何故、答えられないんですか?」

 

「・・・ですから、それは医学的な観点から立てられた治療計画に沿うもので・・・」

 

話になりません。

 

普段、仕事をしていても、こういう、どうしようもない担当者ってのはいますが、(少なくとも今回の)医師が悪質なのは、とにかく「一言も謝らない」事です。

今回の件なんて、医療事故とか、その手の類いのものでもないのに、ですよ?

 

徹頭徹尾、そういう文化、そういう種族の人達なんだろうと思います。

(勿論、こういう医師ばかりではなく、まともな医師もいる事は、僕も分かっています。あくまでも「一般論」として、このような表現の仕方をさせて頂きました。)

 

正直、最初に「こちらの不手際で、大変申し訳ございませんでした」の一言があれば、僕としても、事を荒立てなかったかも知れません。

が、あまりにも不誠実、かつ、まともな理屈一つひねり出せない相手に対して、僕としても、もう引き下がるつもりはありません。

 

「とにかく、もうすぐ血液検査の結果が上がって来るでしょうから、その結果に余程の問題が無ければ勝手に退院しますので。文句があるんであれば、内容証明でも何でも送って来て下さい」

 

「いや、でも、急に退院されても、会計が出来ないんですよ」

 

「それは病院のシステム不備の話であって、僕が退院する事の是非とは関係の無い話ですよね?また、仮に今日は会計が出来ないのであれば、後日、請求書を送って頂ければ良いだけの話だと思うんですが、違いますか?」

 

「・・・・・」

 

大体、もし、それが理由で退院させないって事になれば、何の必要性もないのに、数万円もの差額ベッド代を僕に請求するって事になる訳です。

これ、立派な強要罪になるって事、分かってるんですかね?

もう本当にね、呆れて物が言えません。

 

その後、血液検査の結果が上がって来ましたが、何の問題もありませんでした。

無事(?)退院です。

また、その日に会計も出来ました(危うく詐欺罪も成立するところ)。

 

勿論、病気の治療においては医師や病院との信頼関係が大事だという事は分かります。

が、僕としては「医師だから」「病院だから」と言って、何もかも信頼するつもりはありません。

 

医師や病院が間違う事なんて幾らでもあります。

自分の身を守る為には、医師や病院の言う事を鵜呑みにするのではなく、自らきちんと勉強し、言うべき事があれば、はっきりと意見を述べる事が重要です。

 

この記事は、当時のメモを見ながら書いてるんですが、書き始めた当初は、もっと穏やかな内容になる予定でした。

が、書いているうちに、当時の記憶が蘇って来ると共に、ちょっとキツい言い回しが多くなってしまいましたね。

 

後日、内容を読み返して、必要があれば表現の仕方を変えるかも知れませんが、とりあえず、このまま公開します。

 

・・・・・僕が面倒臭い患者ってだけなのかなぁ・・・・・